2005 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞におけるアンジオテンシンIIタイプ2受容体の役割の解明
Project/Area Number |
17790480
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 雅晴 東北大学, 病院, 医員 (40375085)
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Keywords | 筋収縮 / カルシウム / アンジオテンシン |
Research Abstract |
アンジオテンシンII受容体タイプ2(AT2)はタイプ1(AT1)に比し、その働きは十分に解明されていない。AT2の心筋細胞における機能を明らかにするため、心室筋特異的AT2過剰発現マウスを作成して検討した。同マウスは、心室筋におけるAT2の発現量依存的に増悪した心不全を呈するため、AT2が何らかの心筋障害を引き起こすことが示唆された。 単離心筋細胞における検討では、心室筋特異的AT2過剰発現マウスにおいて、正常に比しカルシウム動態の異常を伴った収縮能の低下が観察され、やはり心室筋におけるAT2の発現量に相関していた。しかも心不全状態を示さない週齢マウスにおいても同様の傾向が確認され、これらの一連の異常は心不全の結果ではなく、AT2の心室筋における発現による直接的な作用が考えられた。さらに,正常心筋では収縮力を増強させるアンジオテンシンIIが、心室筋特異的AT2過剰発現マウスの心筋細胞においては収縮能を低下させ、拮抗剤を用いた検討からその作用はAT2を介した直接作用でなく,AT1を経た間接的な反応であることが示された。最近AT2はAT1とヘテロダイマーを形成して,AT2の薬理学的作用とは無関係にAT1の働きを阻害するという報告があり,我々の結果もこれに矛盾せず、実際心筋細胞においてAT1,AT2の共染色を行うとco-localizationが観察される。不全心においてAT2の発現はAT1に比し相対的に増加するため、心不全という病的な状態では心筋におけるAT2の意義が一層増すと考えられる。今後更なる検討を加えることにより心不全治療戦略におけるAT2の役割がさらに明確になるものと思われる。
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