2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト心室筋モデルの構築を基盤とした致死性不整脈発生の予知に関する理論的研究
Project/Area Number |
17790485
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80396259)
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Keywords | 心臓突然死 / 心室細動 / 電気的除細動 / 虚血性心疾患 / 心不全 / microvolt T-wave alternans / リエントリ / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
心室細動による心臓突然死のリスクを前もって評価できるようにすることは最重要課題の一つである.本研究では,心臓突然死リスクのスクリーニングとして期待されている非侵襲的検査示標microvolt T-wave alternans(以下MTWA)の理論的根拠を示すために,1)ヒト心室筋の電気生理学的特性を有し,生理的・病理的状態を反映した仮想心臓モデルを構築し,2)興奮伝播シミュレーションによりMTWAの出現メカニズムとその本質的な臨床的意義を明らかにすることを目的としたものであった。これに基づき,平成17年度は,科研費にて購入したモデル開発用およびデータ可視化用のサーバーおよびソフトウェアを用いて,ヒト心室筋のPriebe-Beuckelmannモデルを改変した活動電位モデルから1〜2次元のバイドメイン仮想心室筋モデルを構築した.その上で,連続ペーシング時の興奮伝播様式と心筋局所のAP alternansおよび興奮伝播速度alternans,そして組織全体から算出された疑似心電図からTWAを記録・表示できるシミュレーションの基本システムを構築した.次に生理的および心不全の状態下の2次元仮想心筋において心拍数を上昇させたとき(〜110bpm),MTWAの臨床判定基準(Ikeda T, et al. JACC 2000)に従い,それが陽性または陰性になる種々の初期条件を見出した上でリエントリ発生の有無を調べ,モデルの妥当性を評価した.さらに,これに関連して致死性不整脈である心室細動や同じく細動性不整脈である心房細動の発生条件についてコンピュータシミュレーションによる数値解析的な検討をさらに重ねた.その結果,従来,回復曲線仮説に則って考えられた再分極異常のみならず興奮伝播異常でもMTWAが陽性に可能性のあること,MTWAはHR120bpmまでに陽性となる可能性が高いことなどが示唆された.本研究結果については,国内の学術研究会(体表心臓微小電位研究会)のシンポジウムにおいて発表した.
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Research Products
(10 results)