2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌・分子標的治療薬イレッサによる急性肺障害の検討
Project/Area Number |
17790541
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
嶋田 奈緒子 順天堂大学, 医学部, 助手 (40398673)
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Keywords | イレッサ / 肺障害 / マウス / SAM |
Research Abstract |
EGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるイレッサ(ZD1839)は肺癌における新規の分子標的治療薬として登場したが予期されなかった急性肺障害・間質性肺炎が発症し、この急性肺障害の発症機序の解明や危険因子を同定することは我々呼吸器・臨床医にとって急務である。 現在までにイレッサ単独投与でマウスに肺障害を起こすという報告はないが、我々は本研究においてAKR/J系マウスにイレッサを投与し、著明なneutrophilの集積が肺胞壁のcapillary内に起きていることを確認した。イレッサ60mg/kg/day投与では3,7,21日間で経時的にneutrophilの集積が亢進し、またこれらはイレッサ80mg/kg/day投与でさらに亢進した。Macrophageの集積はneutrophilに比べて顕著ではなかった。また我々はイレッサの急性肺障害が臨床的に高齢者や既存の肺疾患を有する者に多いことに着目し、老化促進マウス(senescence-accelerated mouse, SAM)にもイレッサを投与し、その肺組織に及ぼす影響も検討した。SAMの元々のストレインはAKR/Jマウスであるにもかかわらず、SAMP1はイレッサ投与によってもAKR/Jマウスと比較してneutrophilの集積はみられなかった。この結果は当初の予測とは逆の結果であったが、AKR/Jストレイン由来であるSAMP1とAKR/Jマウスのイレッサに対する感受性の違いは非常に興味深いものと考える。これらマウス・ストレイン間の肺組織での遺伝子発現プロファイルの違いやgenetic variationを検討することは、イレッサ急性肺障害の危険因子・予測因子の解明の糸口につながる可能性があると思われる。
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