2006 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸筋シクソトロピーによる慢性閉塞性肺疾患の呼吸リハビリテーションの開発
Project/Area Number |
17790542
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
泉崎 雅彦 昭和大学, 医学部, 講師 (20398697)
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Keywords | シクソトロピー / 慢性閉塞性肺疾患 / コンディショニング / 呼吸困難感 / 肺過膨張 |
Research Abstract |
慢性閉塞性肺疾患では肺弾性収縮力低下や気流制限により機能的残気量の増加,すなわち静的あるいは動的な肺過膨張をきたす.肺過膨張は呼吸困難感や運動耐性の低下などの原因となる.肺過膨張への対策は慢性閉塞性肺疾患の治療戦略上重要な課題であると考えられているが,その有効な手立ては限られている.本間らは健常者において低肺気量位での呼吸筋シクソトロピーコンディショニングがRib cageの呼気終末位を低下させることを報告した.本研究では呼吸筋シクソトロピーコンディショニングは,Rib cageの呼気終末位だけではなく,Chest wallや肺,食道内圧の呼気終末位をも同様に変化させることを明らかにした.さらに,これらの変化は一過性の現象ではなく,持続性があることも示された.また呼気終末位の低下作用は,Inspiratory capacityの増加作用としても示された,これらの知見をふまえると,呼吸筋シクソトロピーコンディショニングが慢性閉塞性肺疾患の肺過膨張を改善する1つの方法となる可能性がある.一部は既に開始しているが,今後は呼吸困難感や運動耐容能への効果,さらにリハビリテーションプログラムに組み込み,その長期効果の検討を行う.また日本では呼吸介助法や呼吸筋ストレッチ等の「胸を軟らかくする」という呼吸理学療法が広く行われ,肺過膨張を改善したとの報告もある.呼吸筋シクソトロピーの概念は,この機序に重要な生理学的バックグランドを与える可能性がある.
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