2005 Fiscal Year Annual Research Report
核内レセプターPPARを介して脂質がアレルギー性炎症に与える役割と機序の解明
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17790666
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
植木 重治 帝京大学, 医学部, 助手 (60361234)
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Keywords | 好酸球 / PPARγ / アレルギー / 炎症 |
Research Abstract |
本年度はこれまでの研究を進める形でより詳細に、特に好酸球におけるPPARγの役割について解析し、論文として投稿した。 末梢血よりヒト好酸球を分離し、PPARγの発現をquantitative PCR,フローサイトメーターで検討した。ヒト末梢血好酸球と好酸球性細胞株EoL-1にはmRNA,蛋白レベルでPPARγの発現がみられ、デキサメタゾン・テオフィリンにより発現の増強がみられた(Pharmacology, in press)。また、PPARγの発現は好酸球活性化に重要なサイトカインであるIL-5では変化がみられないものの、procaterol(β刺激剤)でもβ受容体特異的に増強することも判明した(Int Arch Allergy Immunol, in press)。 PPARγの好酸球に対する機能的な役割を明らかにするため、選択的アゴニストであるtroglitazoneを用いて好酸球の脱顆粒と活性化の指標となるCD69の発現について検討をおこなった。この結果IL-5による脱顆粒、CD69の発現増強はPPARγ依存的に抑制されることがわかった(Pharmacology,2005)。 また15d-PGJ2、troglitazoneの二つの異なるPPARγアゴニストは、eotaxinに対する好酸球の遊走能をpM〜nMの低濃度で亢進、μMレベルの高濃度で逆に抑制した。これは主に細胞質に存在するPPARγにリガンドが結合し、カルシウムシグナルを増強させておこることがわかった(J Immunol,2006)。 これらのことから生体内でのPPARγアゴニストとされる15d-PGJ2は体内での濃度が低いため、好酸球の遊走にプライミングをかけることで炎症の促進に働いている可能性があるが、治療的に投与されたtoroglitazoneなどのPPARγアゴニストは高濃度で炎症の抑制に働き、アレルギー治療薬としても有望と考えられる(炎症と免疫,2006)。
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Research Products
(5 results)