2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症マウスモデルTs1Cjeでの緑茶ポリフェノールの神経細胞保護作用の解明
Project/Area Number |
17790737
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
E.S アブドゥル 独立行政法人理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (50392189)
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Keywords | ダウン症 / Ts1Cje / リン酸化タウ / GSK3β / JNK / EGCG |
Research Abstract |
ダウン症候群は21番染色体トリソミーにより発症し、染色体異常を伴う精神遅滞の中では最も発症頻度が高い疾患である。ダウン症マウスモデルの一つであるTs1Cjeマウスは、ヒト21番染色体の相同領域であるマウス16番染色体上の一部領域を3コピー持ち、ダウン症患者において見られるような学習機能障害や頭部骨格異常を示す。現在までのところ、学習機能障害の詳細なメカニズムについては解明されていない。 我々はTs1Cjeマウスにおける生化学的、組織学的、及び行動学的異常について検討を行い、Ts1Cjeマウス脳におけるミトコンドリア機能異常、活性酸素種の増加、GSK-3β及びJNK等のキナーゼ活性の異常、タウ蛋白の過剰リン酸化を初めて発見した(論文投稿準備中)。 これらの結果から、活性酸素種の増加がキナーゼ活性に影響し、タウ蛋白の過剰リン酸化を引き起こすことが考えられた。また、タウの過剰リン酸化は、神経機能異常や神経変性を起こすことが報告されているため、活性酸素種の増加を含むカスケードがダウン症患者における学習機能障害に関与していることが考えられる。 緑茶に含まれるカテキンであるEpigallocatechin galate (EGCG)は、抗酸化物質として知られている。我々は、Ts1Cjeマウスにおいて観察された異常に対するEGCGの効果を調べるため、EGCG投与群と非投与群との間で、GSK-3β及びJNK等のキナーゼ活性、タウ蛋白のリン酸化等を指標とした解析を行っている。
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