2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来神経幹細胞自家移植による脊髄再生と機能回復
Project/Area Number |
17791017
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Research Institution | Department of Clinical Research National Hospital Organization, National Sanyo Hospital |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 独立行政法人国立病院機構(山陽病院臨床研究部), 外科・医師 研究員 (30393432)
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Keywords | 移植・再生医療 / バイオテクノロジー / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
自己骨髄中にはいわゆる成体多能性幹細胞が存在し、生体外にて増殖を行い、さらに種々の細胞系譜へと誘導ができる可能性が明らかとなってきた。私達は、in vivoにて骨髄間質細胞から神経幹細胞を誘導することに成功した。しかし実際には、その細胞集団のin vivoでの機能は未知である。今回は、脊髄損傷モデルラットに移植を行い、細胞移植の治療効果、移植細胞の生体内での役割と機能を評価することを目的とした。現在、私達は脊髄損傷からの運動機能再建を主な研究テーマとしており、モデルとしては脊髄損傷ラットを用い、障害ラットに細胞移植を行い評価を行った。下位胸髄挫滅損傷を起こしたラットは、移植に伴い下肢運動・感覚機能の回復を認めた。またこのことは、電気生理学的にも経頭蓋刺激-腓腹筋電極によるMEPsにて、確認された。誘導を行った移植細胞のFACS解析では、誘導前の骨髄間質細胞に比べて増殖能が高く(Ki-67陽性)、nestin陽性の未成熟な細胞が多く含まれる性格の細胞集団であることが分かってきた。しかし組織評価では、移植細胞の生着率は低く、その直接効果の多くは急性期の回復に寄与していると判断している。移植後6週後では、移植を行ったラット群では、挫滅範囲と空洞縮小を認め、またホスト由来の細胞成分で充填されていた。空洞のサイズと運動機能の回復は相関する傾向を認めた。内部の細胞成分は、主には新生血管とED1陽性の顆粒球形細胞であったが、その間隙には多数のGap43陽性の新生軸索が進入していた。現在、急性期の脊髄損傷に対する治療が、結果としてその後も引き続き、ホスト脊髄の再生力を賦活化したと考えている。これらの結果を踏まえ、現在、移植細胞の生着率を上げ、その効果を持続させるため、スカフォールドを併用した細胞移植をあわせて進めている。
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