2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来神経幹細胞自家移植による脊髄再生と機能回復
Project/Area Number |
17791017
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Research Institution | Department of Clinical Research National Hospital Organization, National Sanyo Hospital |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 独立行政法人国立病院機構(山陽病院臨床研究部), その他部局等, 研究員 (30393432)
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Keywords | 移植・再生医療 / バイオテクノロジー / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
自己骨髄中にはいわゆる成体多能性幹細胞が存在し、生体外にて増殖を行い、さらに種々の細胞系譜へと誘導ができる可能性が明らかとなってきた。私達は、in vitroにて骨髄間質細胞から神経幹細胞を誘導することに成功した。しかし実際には、その細胞集団のin vivoでの機能は未知である。今回は、脊髄損傷モデルラットに移植を行い、細胞移植の治療効果、移植細胞の生体内での役割と機能を評価することを目的とした。下位胸髄損傷ラットを用い、障害ラットに細胞移植を行い評価を行った。下位胸髄挫滅損傷を起こしたラットは、移植に伴い、統計学的に有意差をもって下肢運動・感覚機能の回復を認めた。またこのことは、電気生理学的にも経頭蓋刺激-腓腹筋電極によるMEPsにて、確認された。最終的には、移植を行ったラット群では、挫滅範囲と空洞縮小を認め、ホスト由来の細胞成分で充填されていた。逆行性トレーシング評価にて、移植後6ヶ月のラットでは、切断された軸索の20%以上が再構築されていた。 誘導を行った移植細胞のFACS解析では、誘導前の骨髄間質細胞に比べて増殖能が高く(Ki-67陽性)、nestin陽性の未成熟な細胞が多く含まれる性格の細胞集団であった。この幹細胞の移植に伴う直接効果の多くは急性期に寄与しており、最終的に(数週間後)には、ホスト細胞に置換されていくことがわかった。結果として移植を行ったラット群では、挫滅範囲と空洞縮小を認め、損傷部は細胞成分で充填されていた。空洞のサイズと運動機能の回復は相関する傾向を認めた。内部の細胞成分は、主には新生血管とED1陽性の顆粒球形細胞であったが、その間隙には多数のGap43陽性の新生軸索が進入しており、正常脊髄構造が再建されるわけではないものの、脊髄損傷部位にもかかわらず、軸索新生や軸索伸展には、再生を容易とする良好な環境ができあがることが推測された。トレーシング評価では、再生した軸索がやや蛇行しながらも、多数損傷部を超えて神経核まで到達することが併せて確認された。
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