2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)による血管拡張作用に及ぼす麻酔薬の影響
Project/Area Number |
17791019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
黒田 昌孝 群馬大学, 医学部, 教務員 (30375555)
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Keywords | カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP) / アドレノメデュリン / 揮発性麻酔薬 / Pithed rat / 血管拡張作用 / 陽性変力作用 / 心拍出量 / 末梢血管抵抗 |
Research Abstract |
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、血管拡張作用、陽性変力・変時作用を有し、生体侵襲時や心血管病変患者において血中に分泌される。アドレノメジュリン(ADM)は、CGRPファミリーといわれる生理学的作用の類似した神経ペプチド群に含まれ、その中でも最も近年発見された物質である。ADMは、血管拡張作用、陽性変力作用などの心血管系への作用の他に、心筋リモデリングの抑制、抗炎症作用、血管新生作用などによる治療的効果も有する。そこで、ADMの心血管作用に及ぼす揮発性麻酔薬の影響をin vivoで検討した。雄性ウィスターラットをイソフルランで麻酔し、頸部で両側迷走神経を切断。左眼窩よりステンレス棒を脊髄腔内へ挿入し、中枢破壊ラット(pithed rat)を作製した。上行大動脈にトランソニック社製超音波トランジットタイム血流計を装着し心拍出量を持続的に測定し、血圧は左内頸動脈で測定した。ノルアドレナリンを持続投与し、平均血圧を100mmHg、心拍出量を50ml/minに維持。イソフルラン(1%,2%)またはセボフルラン(2%,4%)を30分間投与し、ADM(1.0、3.0、10.0、30.0μg/kg)による循環動態の変化を対照群と比較検討した。統計は分散分析で行い、post hoc testはSheffe testを用い、P<0.05を有意差ありとした。結果は、ADM投与直後、血圧、心拍出量は一過性に上昇し、投与1分後それぞれ最低値まで低下し、末梢血管抵抗も低下した。両麻酔薬とも用量依存的に血圧の低下を抑制し、イソフルラン2%およびセボフルラン4%は、ADMによる末梢血管抵抗の低下を有意に抑制した。したがって、揮発性麻酔薬は、ADMの血管拡張作用を抑制すると結論した。以上、現在Anesthesia & Analgesia誌へ投稿中である。
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