2005 Fiscal Year Annual Research Report
微量フェンタニルによるモルヒネ耐性形成の抑制の誘導
Project/Area Number |
17791029
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋本 龍也 島根大学, 医学部, 助手 (00372681)
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Keywords | モルヒネ / 受容体陥入 / フェンタニル / 耐性 / 免疫組織化学染色 / 共焦点顕微鏡 / 脊髄後角 |
Research Abstract |
微量フェンタニルとモルヒネの投与による鎮痛効果及びμオピオイド受容体(MOR)の細胞内陥入に対する影響(急性効果)を検討するために、ラットを用いてまずモルヒネ及びフェンタニルの鎮痛効果、受容体陥入数に対する用量反応曲線を作成し、フェンタニルの鎮痛効果及び受容体陥入を起こさない用量(微量フェンタニル)を決定した。次にモルヒネと微量フェンタニルの混合投与群の鎮痛効果、受容体陥入数をモルヒネ単独投与群、微量フェンタニル単独投与群と比較し、混合投与による鎮痛効果増強と受容体陥入数の関係を検討した。なお、薬剤は髄空内投与とし、鎮痛効果はホットプレートテストを用いた。受容体陥入は抗MOR抗体を用いて免疫組織化学染色した脊髄後角を共焦点顕微鏡で観察した。その結果、モルヒネと微量フェンタニルの混合投与群では、鎮痛効果、受容体陥入数ともモルヒネ単独投与群および、微量フェンタニル単独投与群に比べ著明な増加が認められた。さらに、フェンタニルよりも受容体陥入を引き起こす能力の強い[D-Ala^2,N-MePhe^4,Gly^5-ol]enkephalin(DAMGO)においても、鎮痛効果及び受容体陥入を起こさない用量の微量DAMGO群を作成し、モルヒネ単独群と混合投与したところ、フェンタニルの場合と同様の結果を得た。以上のことから、受容体陥入数の増加によりモルヒネの鎮痛効果は増強することが示唆された。 微量フェンタニルとモルヒネの慢性投与時の耐性形成に対する影響(慢性効果)については、現在検討中である。しかし、モルヒネとの混合投与の際に鎮痛効果、受容体陥入数の増加の程度が大きかったDAMGOについては、慢性投与の際、モルヒネとの混合投与による耐性形成抑制効果が認められるが、受容体陥入の程度とは明らかな相関関係は認められないという知見を得ている。
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