2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管に特異的に発現するペプチド配列に対する抗体作製とその臨床的意義の検討
Project/Area Number |
17791080
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮田 康好 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60380888)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 腎細胞癌 / 移行上皮癌 / 前立腺癌 |
Research Abstract |
最終的に臨床的意義を検討する候補となるペプチド配列の検討を文献的に行う過程で、癌細胞の浸潤や転移に関係するとされるmatrix metalloproteinase (MMP) familyと同様、あるいは類似したものが比較的多いことに気付いた。このことから、MMP familyのある種のものが癌細胞の浸潤に重要な役割を果たすとともに、腫瘍組織における血管新生にも同時に関与する可能性が考えられた。そこで、MMP familyのうちで、泌尿器癌においてその臨床的意義や血管新生との関連があまり知られていない蛋白についての検討を進めた。その結果、MMP familyのなかで最も代表的なものであるMMP-2とMMP-9を調べたところ、過去の報告通り、腎細胞癌、膀胱癌、前立腺癌ともに癌細胞で高発現しており、浸潤と関連していることがわかったが、血管内皮細胞への発現はほとんど認めなかった。次に、MMP-1、-3、-10、-24と検討したが、これらの癌細胞における発現は癌種によって異なっていたが、いずれも血管内皮細胞での発現は認めなかった。一方、MMP-19が血管内皮細胞において発現していたため、現在、血管内皮細胞における生理的・病理的役割をcell linesで、血管新生との関連や浸潤・転移といった臨床的意義を泌尿器癌組織において検討している。さらに、数種類のMMPについても同様の検討を進めている。 また、血管内皮細胞に発現することが知られている数種類の既知のペプチド配列に対して抗体を作成しているところである。現状では、凍結標本においては特異的に反応することが確かめられつつあるが、ホルマリン固定パラフィン包埋標本における特異性の確認を行うために染色条件を検討しているところである。
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