2005 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕原性細菌表層におけるレジンモノマーの重合現象に関する多面的解析
Project/Area Number |
17791355
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 雄介 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60397693)
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Keywords | 歯学 / う蝕原性細菌 / う蝕 / レジン / モノマー / 重合 / バイオフィルム |
Research Abstract |
初年度の研究実施計画に基づいて以下の実験を行った。 1.市販コンポジットレジン(Silux Plus,3M ESPE, USA)を用いて10〜120秒間の光照射により作製した規格硬化試料を、蒸留水中に24時間浸漬し、未重合トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)の溶出濃度を高速液体クロマトグラフィにて測定した。その結果、20秒以下の光照射条件下では、高濃度のTEGDMA溶出が生じることが確認された。このことより、菌体周囲でのモノマー重合現象は、市販のコンポジットレジンから溶出するTEGDMA濃度でも起こりうることが示唆された。 2.細菌の増殖および代謝と菌体周囲でのモノマー重合の関連性の検討を行った。Streptococcus sobrinus B13あるいはStreptococcus sanguis ST3Rをリン酸緩衝液中に懸濁して72時間放置し、死菌あるいは細胞壁抽出成分のみを含む状態とした試料を、TEGDMAを添加したBrain Heart Infusion液体培地に接種し、2〜72時間の培養を行った。その結果、菌体周囲におけるモノマーの重合現象による経時的な吸光度の上昇は認められず、また、走査型電子顕微鏡観察においても、細菌周囲でのモノマー重合物の形成はまったく認められなかった。これらの結果から、菌体周囲におけるモノマー重合現象は細菌の増殖あるいはそれに伴う代謝などによって引き起こされていることが明らかとなった。 現在、菌体表面においてモノマー重合現象を引き起こす非特異的付着因子の検索を行っており、平成18年度は特異的因子も含めて検討の継続を実施する予定である。
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