2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性根尖性歯周炎における自律神経系・知覚神経系の関与について
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17791364
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
宮本 めぐみ 京都府立医科大学, 附属病院, 修練医 (20398407)
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Keywords | 慢性根尖性歯周炎 / 知覚神経 / 交感神経 / CGRP / TH / ラット / 歯根膜 |
Research Abstract |
根尖部歯根膜内に存在する知覚神経や交感神経と慢性根尖性歯周炎との関係を検索するため、慢性根尖性歯周炎モデルラットを用いて知覚神経線維中に多く存在するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)と、交感神経線維中のカテコラミン合成段階律速酵素であるtylosine hydroxylase(TH)に対する免疫組織化学を行った。 SD系雄性ラット(体重250g)を用い、ネンブタール麻酔下ラウンドバーにて露髄させ感染根管を作製した。4週間後ネンブタール深麻酔下にて灌流固定を行いギ酸にて脱灰した。凍結切片作製後、CGRP・THに対する免疫組織化学をABC法によって行った。光学顕微鏡下カメラにて根尖部相当を撮影しNIH imageにて画像解析を行った。画像解析の結果に対し統計解析を行った結果、慢性根尖性歯周炎モデルにおいて、根尖部相当の歯根膜内CGRP・THとも有意な増加が認められた。 結果を考察すると、CGRPは通常、神経損傷性疼痛モデルでは減少し炎症性疼痛モデルでは産生・放出量が増加する。よって慢性根尖性歯周炎の歯根膜における知覚神経の異常は器質的な神経線維の破壊ではなく局所の炎症が起因する侵害受容性疼痛のパターンを示す。慢性根尖性歯周炎において歯根膜内神経終末のCGRPは侵害受容器の興奮によって逆行性にリリースが亢進し、神経性炎症を生じさせる一因となりうることが示唆された。 一方、一般的に局所の炎症により交感神経は急性時では活動的になるものの慢性時には変化が生じにくいことが多い。しかし今回の条件化では交感神経の活動性の増加が認められ、一般的な慢性炎症における交感神経の反応と異なる所見が得られた。よって慢性根尖性歯周炎の難治性は交感神経依存的な要因の可能性が示唆された。 2006.口腔科学会総会、2006.歯科保存学会春季大会にて発表予定である。
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