2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨止血剤(アパタイトパテ)の生物学的作用の強化ならびに付与に関する研究
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17791465
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
桃田 幸弘 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (00304543)
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Keywords | アパタイトセメント / 骨止血剤 / アルギン酸ナトリウム / 創傷治癒 / 骨形成 |
Research Abstract |
アパタイトセメントはアルギン酸ナトリウムの添加によりパテ状の性状を示し(アパタイトパテと命名)、この性質によって出血している骨面に強く接着し、優れた局所止血作用を有する。さらに、その組成が骨の無機成分(ハイドロキシアパタイト)と同一であることにより、優れた生体親和性を示す。また、アパタイトパテが単に骨と接着するという物理学的作用のみを有する骨止血剤ではなく、種々の生物学的作用を有するバイオアクティブな骨止血剤であることも見出した。アパタイトパテを出血部位に適用すると、血小板を活性化させ(血小板凝集作用)、局所止血作用が一段と高められるのみならず、活性化した血小板から種々の細胞増殖因子(血小板由来増殖因子(PDGF-AA、PDGF-AB)、形質転換増殖因子(TGF-β1、TGF-β2)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様増殖因子(IGF-I))が分泌されることが予想される。 まず、試料(アパタイトパテ)の調製は、粉末としてリン酸四カルシウムとリン酸水素カルシウムの等モル混合物を、練和液として0.2M中性リン酸水素ナトリウム水溶液に8%のアルギン酸ナトリウムを添加したものを用い、これらを粉液比3.5で混合する。 実験1)血小板からの種々の細胞増殖因子の分泌量の測定 1.ELISA法 ヒト全血を採取し、試料を血液中に浸漬し、ELISA法により種々の細胞増殖因子の分泌量を測定する。 実験1)の結果、アパタイトパテが血小板からの種々の細胞増殖因子を分泌させることを確かめた。これらの細胞増殖因子が創傷治癒や骨形成に対して促進的に作用することは既に数多くの文献において報告されており、アパタイトパテについても、これらの細胞増殖因子の作用により創傷治癒や骨形成が促進されることが強く示唆された(論文投稿中)。
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Research Products
(2 results)