2006 Fiscal Year Annual Research Report
天疱瘡自己抗体の結合カイネティクスによる新たな病原性判定法の開発
Project/Area Number |
17791489
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
角田 和之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60265915)
|
Keywords | 天疱瘡 / 自己抗体 / 病原性 / 蛋白相互作用 / 結合カイネティクス / 速度論的解析 / 半減期 |
Research Abstract |
尋常性天疱瘡(PV)はその自己抗原蛋白であるデスモグレイン3(Dsg3)に対する抗Dsg3 IgG抗体により細胞接着機能が障害され水疱が形成される。これまでに我々はPVモデルマウスより抗Dsg3モノクローナル抗体(AK mAb)を複数単離した。昨年度までの本研究においては、新たな病原性を評価する方法としての結合カイネティクス解析の有用性を検討するために、表面プラズモンセンサー(Biacore)を用いてAK mAbとマウスDsg3蛋白の結合解離係数(K_D)を算出した。AK mAbのマウスDsg3に対する結合カイネティクスは、同じ抗原上に結合する抗体にもかかわらず一様ではない事が判明し、また各AK mAbの病原性と結合カイネティクスとの明らかな相関関係は認められなかった。そこで本年度はまずヒトDsg3と反応性を有するAK mAbの病原性をヒト初代培養角化細胞を用いたin vitro dissociation assayを用いて検討した。細胞接着障害能はマウスDsg3に対するものと同様にAK23 mAbを代表とするアミノ末端を認識するAK mAbが強い傾向が認められた。次にヒトと交差反応性を有するAK mAbとヒトDsg3蛋白との結合カイネティクスの検討をBiacoreを用いて行った。病原性を有するAK mAbである、AK23 mAbを代表とするDsg3細胞外領域のアミノ末端領域を認識する病原性のAK mAbは結合カイネティクスが強い傾向を示し、AK9 mAbを代表とするDsg3細胞外領域の中央からカルボキシ末端を認識する非病原性のAK mAbの結合カイネティクスは弱い傾向である事が確認された。これはヒトDsg3に対してはその結合カイネティクスが病原性と相関関係を有することを意味し興味深い結果である。今後はさらにわれわれが他に単離した新たな抗Dsg3モノクローナル抗体を用いて抗Dsg3抗体とDsg3蛋白との結合カイネティクスの詳細な検討を行う予定である。
|