2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍特異的TIMP遺伝子導入による口腔扁平上皮癌浸潤・転移の抑制
Project/Area Number |
17791490
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
衣笠 有里子 昭和大学, 歯学部, 助手 (10384314)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / MMP / TIMP / COX-2 / CD44 / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
癌細胞が結合組織内に存在する毛細血管やリンパ管内に浸潤、また逆に血管やリンパ管内の癌細胞が末梢組織に浸出する過程において、規定膜や結合組織構成蛋白はmatrix metallo-proteinase (MMP)により破壊され浸潤・転移が成立することが知られている。このMMP群は共通のインヒビターであるtissue inhibitor of metalloproteinase (TIMP)によってその活性が阻害される。このTIMPを癌細胞特異的に発現させ口腔癌の浸潤・転移抑制療法に応用するために以下の実験を試行した。 口腔扁平上皮癌細胞株NAおよびHSC-4において、各種MMP産生能およびTIMPに対するCOX-2選択的阻害剤NS-398およびCOX-2 antisense oligonucleotide (COX-2 AS)遺伝子導入の効果を検討した。その結果、これらCOX-2選択的阻害効果により両細胞株における培養上清へのMMP-1,2,7,9分泌および細胞中の蛋白発現を抑制すること、培養上清へのTIMP-2分泌を抑制すること、MMP-9の発現を調節する転写因子ets-1、ets-2のmRNA発現を抑制すること、さらにはMMP-9の転写因子の一つであるAP-1の構成要素であるc-Fosのリン酸化の亢進を認めた。また、両細胞におけるCD44の発現について解析したところ、両細胞株ともに、細胞表面にCD44を発現しており、その発現はCOX-2を選択的に阻害することにより、抑制が認められた。以上のことより、COX-2選択的阻害剤NS-398およびCOX-2 antisense oligonucleotide (COX-2 AS)遺伝子導入が、両細胞株の調節因子を制御することにより増殖を抑制すること、MMP-2および転移関連細胞接着蛋白であるCD44の発現調節を介して口腔扁平上皮癌細胞の浸潤を抑制する可能性が認められた。
|