2006 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍特異的TIMP遺伝子導入による口腔扁平上皮癌浸潤・転移の抑制
Project/Area Number |
17791490
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
衣笠 有里子 昭和大学, 歯学部, 助手 (10384314)
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Keywords | 扁平上皮癌細胞株 / TIMP / 浸潤能 / MMP / 線維芽細胞 / 高転移株 |
Research Abstract |
本年度は、TIMPを癌細胞特異的に発現させることによる口腔癌浸潤・転移抑制療法の可能性を検討するための基礎実験として以下の解析を行った。 1.In vitroの系として、線維芽細胞株WI-38およびMRC-5のTIMP産生能をwestern blot法およびELISA法にて解析するとともに、TIMP-2アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)およびCOX-2ASの遺伝子導入の影響について検討した。その結果、WI-38、MRC-5両細胞株ともにTIMP-2を発現しており、TIMP-2ASおよびCOX-2AS遺伝子導入によりその発現は抑制された。 2.TIMP-2ASあるいはCOX-2ASを遺伝子導入した線維芽細胞の培養上清を口腔扁平上皮癌細胞(OSCC)株NAおよびHSC-4に加えてもOSCCの増殖能には影響をあたえず、72時間まで細胞障害性を認めなかった。 3.TIMP-2 ASおよびCOX-2 AS処理した線維芽細胞の培養上清を用いてOSCCのインベージョンアッセイを行ったところ、OSCCの浸潤能は抑制された。 4.これら上清を加えたOSCCのMMP-2活性を検討したところ、活性型MMP-2の減少を認めた。また、MMP-2活性化因子の一つであるMT1-MMPの発現についてフローサイトメトリーにて解析したところ、TIMP-2 ASはその発現に影響しなかった。 5.口腔癌高率転移ヌードマウスモデル作成のために各種OSCC-GFP株を作成してクローニングしたところ、舌移植による腫瘍塊形成および100%頚部リンパ節に転移するSAS-L1転移モデルを構築した。 上記結果より、TIMP-2 ASは線維芽細胞のTIMP-2産生を抑制し、MMP-2活性抑制を介してOSCCの浸潤能を低下させることが示唆された。現在、癌細胞特異的TIMP-2発現ベクターを作成中であり、上記5の高転移モデルでの応用を検討している。
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