2006 Fiscal Year Annual Research Report
救命救急センターで突然死を体験する家族の悲嘆プロセスと看護師の悲嘆援助
Project/Area Number |
17791633
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
原田 竜三 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (20363848)
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Keywords | 突然死 / 救命救急センター / 悲嘆 / 家族援助 |
Research Abstract |
今年度は、救命救急センターで突然死を体験する家族の現象および看護師の援助について、欧米における文献レビューを実施した。欧米において、このような家族に対する援助は、6つの場面において実施されている。1つ目の場面は、家族が救急外来に来院する前の段階で、家族に連絡をとるのは医師および熟練看護師で、このときには、患者が亡くなったことは告げないなどがある。2つ目の段階は、家族が救急外来に到着したときの場面であり、医師や看護師が早急に患者の状況について説明をしなければならないなどがある。3つ目の場面は、蘇生場面であり、蘇生場面では看護師は家族のそばに付き添うことなどがある。4つ目の場面は、死亡確認場面であり、看護師は家族が悲嘆の感情を表現できるようにすることがある。5つめの場面は、遺体との対面場面であり、身体についた血液などをきれいにし、静寂な環境を整えること、患者との接触を促すことなどがある。6つ目の場面は、家族が病院を離れた後においても起こった質問について答えること、地域のサポートグループの紹介などがある。これらの場面におけるケアは、わが国における看護師の援助の実施に示唆をあたえるものと考えられる。突然死を体験する家族に対する看護師の援助は、家族の悲嘆プロセスを促進させるとあり、看護師はそのことを認識した上で、援助を実施しなければならない。 さらに、突然死を体験する家族が示す悲嘆反応については、1944年にリンデマンが述べた急性悲嘆反応にルーツがあり、以後、多くの精神科医が研究を実施している。急性悲嘆反応は、呼吸ができなくなるなど激しい身体反応を示し、病的悲嘆に陥りやすい。突然死の場合には、看護師は、これらの身体反応を理解した上で、家族に対応する必要がある。また、反応が激しい場合には、精神科医の早期の介入も考慮しなければならないことが示唆される。
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