2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工呼吸器装着後の生活において筋萎縮性側索硬化症患者が体験する痛みに関する研究
Project/Area Number |
17791645
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
山本 かよ 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (60382248)
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Keywords | 筋委縮性側索硬化症 / 痛み / 人工呼吸器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人工呼吸器装着後の療養生活においてALS患者が体験している痛みを明らかにすることであり、昨年度に引き続き、以下の内容で調査を行った。 1.平成18年4月〜平成19年3月:近畿圏内の総合病院や訪間看護ステーションの責任者(看護部長、所長)、日本ALS協会近畿ブロック事務局へ研究の趣旨を説明し、研究協力を依頼した。 2.平成18年8月〜平成19年3月:上記1で研究依頼を行った責任者より研究参加者を紹介していただき、研究参加者に研究の目的、方法を説明したのち同意を得た2名について調査の日程を調整した。その後、30分程度の面接を行った。ALS患者の語り(文字盤でのやり取りやパソコンにて文字化されたもの)をデータとして収集するため面接内容を録音し、逐語録として起こした。得られたデータを繰り返し読み、研究課題に沿ってデータの意味内容を解釈し、1つの意味をなす現象に適切であると考えられる概念に名前をつけ、昨年度の結果(対象者2名)と統合させて分析を行った。 調査を行った結果、以下の内容が明らかとなった。 1.対象者の概要:維持期(筋力低下が進行し、人工呼吸器による呼吸補助、日常生活全般への援助が必要な状態)のALS患者4名(男2名女2名)。 2.ALS患者が体験している痛みの様相:ALS患者は、からだ全体に及ぶズキズキした痛みと首や足の指、骨、カニューレが引っ張られる痛みを感じており、【からだ全体と局部の痛み】を体験していた。痛みは一日中じわじわと続いているが、一端寝てしまうと感じなかったり、天候や季節、午後から強くなるなど1年、1日を通して【強弱の波がある】ことがわかった。このような辛い痛みは同じ姿勢が長くなると特に強くなり、体位調整やマッサージ・ストレッチをして患者の【からだを勤かすと楽になる】と1名を除く3名が語っていた。しかしながら、1名の患者はマッサージをしても何をしても痛みが【楽になることはない】と感じており、痛みによる例えようの無い苦痛を体験していた。また、患者らは痛みのほかにも全身の痒みや痛みのない筋肉の痙攣、体の位置が決まらないことに対する苦痛などALS患者は【痛みだけではない】苦痛を体験していた。
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