2017 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリンエステラーゼ駆動の自己組織化を活用したアミロイドベータの染色と阻害
Project/Area Number |
17F17045
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜地 格 京都大学, 工学研究科, 教授 (90202259)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU SHUANG 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2017-07-26 – 2019-03-31
|
Keywords | 超分子ヒドロゲル / 自己組織化材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
アセチルコリンエステラーゼやγグルタミン酸ペプチダーゼなどの酵素や炎症組織で発生する活性酸素/窒素種あるいはがん組織での低pHによって分子構造が変化し、ゲルからゾルあるいはゾルからゲルに巨視的は相変化を起こす超分子ヒドロゲルを、これまで我々の研究室が培ってきた分子設計指針に基づいて、デザインし、その一部に関して化学合成を行った。さらに、これを実験室のシャーレで培養した細胞系だけでなく、実際にマウスなどの生物個体in vivoでも利用できるようにすることを目指して、オリゴエチレングリコールやフォスファチジルコリン分子骨格を有するアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル型の水溶性高分子の側鎖にグラフトした超分子/高分子ハイブリッドを作成することを試みた。当初は、アクリルアミド型のモノマーをアクリル酸エステル型モノマーと混合してRAFT重合していたため、望みの比率での共重合体が得られなかったため、すべてのモノマーをエステル型に揃えて重合を行った。これによって、それぞれもモノマーの仕込み比率に応じた共重合体が合成できるようになった。またゲル化剤を修飾したものモノマーを用いた共重合も試みたが、溶解性の低さのために、期待した重合度のポリマーは調製できなかった。このため、共重合体に後から超分子ゲル化剤をグラフトする戦略に切り替えた。現時点では、カルボヒドラジンとアルデヒドとの動的共有結合を利用したグラフトを試みており、超分子ヒドロゲル/水溶性高分子ハイブリッドの作成条件に関して検討している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本人の日本への適応に少し時間を要したものの、研究テーマに関する突っ込んだ議論を行えるようになり、研究計画はほぼ順調に進み始めていると判断している。外部環境応答機能を有するペプチド型の化学合成および水溶性高分子の原料である幾つかのモノマーの合成は、順調に進み、脱気アルゴン雰囲気下での高分子合成にも習熟してきており、幾つかの水溶性ポリマーと刺激応答性ゲル化剤が準備でき、これらのハイブリッド化に関しても、幾つかは成功したので、今後これらの物性や応答特性の評価に進みたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
来日後に分かったことであるが、本人にとって高分子合成は初めての経験であり、また有機合成能力もあまり高くなかった。そのため、本人が得意とするペプチド性ゲル化剤の合成から始めて、これまで経験がないものの基本的な反応へと順次レベルを上げて進めるように指導するように方針を立てた。幾つかの技術に習熟し、実際に実験データが出てきつつあるので、これを踏まえて、二年目は研究の加速を目指し、新しい超分子ゲル/水溶性高分子ハイブリッドの機能化へ繋げたい。
|