2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17F17305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 禎浩 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10222978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QI LIN 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | モダニズム / 前衛芸術 / 社会主義リアリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究体制としては、研究代表者と研究分担者(外国人特別研究員)が定期的にミーティングを持ち、それぞれの研究状況を折々に報告しあい、作業のコーポレートをあげるよう努めた。 本年度は事業にかんする奨励費の内定が11月になってようやく得られたため、関連資料・機器の購入と関連史蹟や作品の所在調査、収蔵調査を急遽実施するにとどまった。研究代表の石川がドイツ・ハンガリーの学術機関、大学図書館、記念館などを訪問し、研究事業のテーマに関連する資料、作品の所蔵や収集状況、展示状況などを調査し、合わせて旧冷戦体制の中欧、東欧の社会主義国で、前衛芸術がどのように政治的に利用、差違化されてきたのかという問題についての追加の臨時調査を行った。 他方で研究分担者のQI Lin は、山口、つくばなどで日本に残る資料から作品状況の把握を行い、量的には少ないものの、日本における中国前衛的モダニズム芸術の作品の所蔵・公開状況を調査するとともに、関係研究者からのレクチャーをうけた。このほか、研究代表者はもっか本務校(京都大学人文科学研究所)において、毛沢東のイメージを中心とする肖像・伝記資料を収集・検討する共同研究班を組織しているので、この研究によってこれまで得られた知見をもとに、ポップ芸術における毛沢東主題がどのように展開し、西洋・日本の現代芸術にどのように認識されているかを、実作の展示状況、展覧会の開催状況とともに報告すべく、その準備にあたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は事業にかんする奨励費の内定が11月になってようやく得られたため、関連資料の購入と関係資料の調査をするなど、事実上研究準備にとどまり、成果というほどの結果をあげるにはいたらなかった。しかしながら、迅速に研究機材・関連資料・図書などの購入をすすめ、関連作品・史蹟の調査も並行しておこなったため、準備は極めて周到かつ総合的に行われたと評価できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の準備をもとに、中国前衛芸術の内外芸術界、特に日本のそれとの相互影響関係について、研究分担者と資料・知見を付き合わせ、中間成果を報告できるよう、とりまとめを行う。具体的には、研究代表者が定期的に開催している共同研究班(「毛沢東に関する人文学的研究」)の場で集中的に討議を行い、関係する専門家の意見を聴取した上で、成果論文を前倒しで作成し、同研究班が刊行を予定している論文集に寄稿する予定である。また、その成果を英文で対外発信できるようにまとめ、平成30年8月末にドイツで開催が予定されている現代中国史に関するワークショップで発表した上で、同様の関心を持つ国外研究者と英文による成果のとりまとめについて、研究分担者を同道して話し合い、具体的な成果の出版にむけて、地ならしをする予定である。 このほか、9月ぐらいにアメリカにおける中国前衛芸術作品の所蔵調査を実施する。アメリカで調査を行うのは、前衛芸術をはじめとするモダニズム芸術の作品が、中国国内では学術研究目的であっても、ほとんど公開されておらず、国外に流出した作品群の所蔵調査を行う必要があるためである。
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