2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17F17305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 禎浩 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10222978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QI LIN 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | モダニズム / 前衛芸術 / 社会主義リアリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究体制としては、昨年度同様に、研究代表者と研究分担者(外国人特別研究員)が受け入れ先の京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センターにおいて定期的にミーティングを持ち、それぞれの研究状況を折々に報告しあい、協業して研究作業をすすめた。その一方で現時点でまとめうる中間段階の研究成果を論文化し、いくつかのジャーナルに投稿・発表することができた。また、そうした国外学会での出張を利用して、学会の開催地の付近などで開催されているモダニズム展示会、芸術展を訪れ、あわせて当該美術館に現代中国に関連するモダニズム作品が所蔵されているかどうかの調査を精力的に行った。研究代表者(石川)の8月末から9月初めにかけての出張や、研究分担者(QI)の同時期の学会出席のための出席などは、いずれもこうした資料調査・所蔵調査をかねたものであった。また、研究分担者は、国内の学会(5月に仙台で行われた研究大会)にも出席し、自らの知見を広く公表することができた。 他方で研究分担者のQI Lin は、研究代表者の石川の主宰する共同研究班「毛沢東に関する人文学的研究」に在籍し、年間15回におよぶ研究会に参加し、モダニズム作品に関連する資料の所蔵・公開状況を中心として、積極的に議論に加わった。こうした議論を通じて、1940年代前半の戦時首都であった重慶市に関連資料が残るケースを見いだし、1月末から2月初めにかけては、重慶に赴いて関連資料の収集につとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は事業の中間年にして、最大の奨励費を受領できる年度であったため、関連資料の収集だけでなく、大きくその分析を進めることができた。とりわけドイツでのモダニズム芸術の調査によって、日本と中国をむすぶミッシングリングとも言うべき作品群をみつけることができたのは大きな収穫であった。研究成果の一部を中間報告、あるいは先行発表できたことも大きな進捗であると評価することができる。さらに来年度に向けた関連作品・史蹟の調査も並行しておこなったため、インプット・アウトプットともに極めて周到かつ総合的に行われ、充実した進捗を得ることができたと評価できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
一年半の準備をもとに、中国前衛芸術の内外芸術界、特に日本のそれとの相互影響関係について、研究分担者と海外調査において発見・確認した資料・知見を付き合わせ、成果の総まとめを報告できるよう、適当な時期に討論をおこなう。その成果は7月にニュージーランドで予定されている国際学会において、研究協力者の発表という形で広く内外に示される見込みである。ニュージーランドは中国系移民も多いため、かの地においてモダニズムがどのように受容されているのかについても、博物館・美術館を中心に所蔵状況の調査をおこなってみたい。 あわせて、研究代表者が京都大学で主宰している共同研究班(毛沢東にかんする人文学的研究)の報告論文集にも寄稿を予定している。
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