2017 Fiscal Year Annual Research Report
高効率水素生成を駆動するナノ構造制御した可視光応答型金属触媒の開発
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17F17381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 弘巳 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40200688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAVLANI GARCIA MIRIAM 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | プラズモン特性 / ナノ粒子 / 水素キャリア / バイメタル / 金属触媒 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池の普及には、水素を貯蔵・輸送可能な形態に変換して、時間や空間を超えて需要先へ届ける技術を構築する必要がある。近年、高密度の水素キャリアを利用した化学的水素貯蔵・発生システムが有望視されている。本研究では、安全かつエネルギー密度が高い水素キャリアとして、アンモニアボラン、ギ酸から低温での水素発生を可能とするナノ構造制御した金属触媒ならびに可視光応答型金属触媒の開発を目的とした。さらに、反応を駆動するエネルギーとして太陽光の有効利用を試みた。すなわち、新規有機多孔体(MOF)の構造制御、表面プラズモンの利用、ヘテロ界面を有する異種材料とのハイブリッド化など種々の触媒調製技術を駆使した新規ナノ構造材料の開発を目指した。また放射光XAFSなどの分光学的手法を駆使して、優れた触媒機能とナノレベルの構造との相関を明らかにした。 平成29度は特に、プラズモン特性を発揮する2元系金属ナノ粒子の設計を試みた。プラズモン金属ナノ粒子は、様々な用途において光触媒反応を増強する興味深いアプローチである。しかし、Ag、AuまたはCuのような純粋なプラズモン金属ナノ粒子は、ギ酸またはアンモニアボランのような水素キャリアからの水素生成において非常に良好な性能を示さない。これらの金属とPdからなるバイメタルナノ粒子は、それらの活性を高める有望な選択肢である。制御された組成を有するバイメタルナノ粒子は、コロイド合成法によって調製され、活性炭材料、シリカまたはゼオライトのような担体上へ固定化した。様々な条件(金属前駆体濃度、安定化剤/金属比、還元温度、還元時間など)を制御することにより、ナノ粒子の最終的な組成だけでなく、サイズおよび形態も調整し、水素生成反応に最適な条件を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、主に各種触媒の調製を行った。具体的には異なる組成(シリカ、カーボン、TiO2)、異なる細孔構造(2D、3D)、細孔径の様々な中空状多孔質材料を調製した。多孔質材料の調製法としては、様々な有機テンプレートを利用した液相でのゾルゲル法を用いた。ここで重要なのは、触媒活性種となる金属ナノ粒子、光応答性金属錯体、並びに酵素等の導入法である。細孔構造よりも小さな分子の場合、反応中での溶出が懸念されるため、ここでは有機テンプレートと触媒活性種を同時に用いて中空構造を作成する自己組織化法により作成し、同時に細孔内の静電場や空間体積などの分子環境場も制御することを試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに調製に成功したナノ構造制御した金属触媒ならびに可視光応答型金属触媒を利用して、安全かつエネルギー密度が高い水素キャリアとして、アンモニアボラン、ギ酸を用いた低温での水素発生の反応を試みる。金属触媒のナノ構造や電子状態、その周辺の親水疎水性や酸塩基性が反応に与える影響を明らかにする。そのため、触媒構造解析を行い、触媒構造と反応特性の相関を明らかにする。
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