2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding genetic diversity, population structure and natural distribution of a critically endangered salmonid species (Sakhalin taimen) using environmental DNA
Project/Area Number |
17F17391
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒木 仁志 北海道大学, 農学研究院, 教授 (20707129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAMPBELL MATTHEW 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
|
Keywords | 環境DNA / RAD-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本最大の淡水魚で絶滅危惧種であるイトウの生態に関する新たな知見を得るため、昨今進展目覚ましい環境DNAを用いた手法を核DNAの種内多型に応用する技術開発を目標としている。現在環境DNA技術は主に細胞内小器官の一つであるミトコンドリアのDNAを基に解析されているが、ミトコンドリアDNAは一般に種内多型に乏しく、同一種内でおこる変異の多くを反映していない。そこで、環境水中の核DNA情報をより高密度で集積することにより、「一すくいの水から希少種・野外集団の遺伝的多様性評価」へとつなげるのが本研究プロジェクトの狙いである。この技術開発が実現すれば、イトウに限らず希少種を捕獲したり傷つけたりすることなく彼らの遺伝的多様性を評価できるばかりか、過去のボトルネック、集団間の遺伝的交流といった歴史についても推定が可能となることが期待される。 これにはRAD-seqと呼ばれる手法を用い、本解析に適したゲノムスケールでの核DNAマーカー探索を行う必要があるため、H29年度はこの解析を実施するためのサンプル収集と予備的な解析を実施した。共同研究者であるマシュー・キャンベル(JSPS外国人特別研究員)の着任がH29年10月末であったことから、昨年度は5カ月間という限られた期間ではあったが、研究協力者らの協力の下、約30個体のイトウ組織サンプルからのDNA抽出が実現し、これらのサンプルを基にRAD-seq法による核DNAマーカー開発の準備が整いつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者であるマシュー・キャンベル(JSPS外国人特別研究員)の着任がH29年10月末であったことを考慮すると、現状の進捗状況は妥当な推移と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本国内・北海道内でのイトウの繁殖期が4-5月と限られるため、遡上親魚の地域集団の遺伝的多様性を評価するにはこの時期に全道各地で採水を実施するほかない。このため、まずはこの時期にイトウの安定個体群が存在する各河川を周りサンプル収集を試みると共に、各機関協力者よりRAD-seqに供するイトウ組織標本の更なる充実を図る。
|