2017 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-scale mechano-structural relationships of mineralized bone matrix via the PILP process
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17F17787
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東藤 正浩 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10314402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO LEI 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 骨組織 / 石灰化 / PILP法 / X線回折 / 力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては,まずX線回折手法による石灰化組織のアパタイト-コラーゲン複合構造の同時力学挙動解析を行った.骨組織などの石灰化組織は,微視的にはアパタイトおよびコラーゲンから構成される複合材料である.そこでX線照射によりアパタイト結晶から得られる広角回折X線とコラーゲン分子鎖から得られる小角散乱X線を同時検出する測定系を構築した.実験にはナノスケールX線構造解析装置(北海道大学共同利用設備)を用い,試料として牛大腿骨皮質骨を用い,アパタイトおよびコラーゲンの最適なX線回折条件を調査した.X線回折装置内に導入可能な引張負荷試験機を導入し,外的負荷時の骨組織内のアパタイト-コラーゲン両成分のX線回折像を計測した.外的負荷時の回折パターンの変化を解析し,各成分の変形状態を求めることで,その力学的相互作用を実験的に観察した. 一方,新たなバイオマテリアル開発を目指し,高分子マトリックスの石灰化を目的とした高分子誘導液体前駆体(PILP)プロセスによる新規石灰化組織作製法に同時に進行した.本手法によれば,高分子マトリックス構造に由来した石灰化組織を簡便に生成することが可能となり,より生体骨に近い階層構造性を持ち,力学的機能を併せ持つバイオマテリアル開発を行うことが可能となる.そこで,牛大腿骨皮質骨試料を脱灰した後,高分子誘導液体前駆体プロセスによる再石灰化に取り組んだ.ラマン分光解析の結果,十分な再石灰化が確認され,石灰化組織作製手法の確立に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度においては,研究計画通り,まず受入研究員が考案しているX線回折手法による石灰化組織のアパタイト-コラーゲン複合構造の同時力学挙動解析を行うことに成功した.実験には北海道大学共同利用設備であるナノスケールX線構造解析装置を用い,アパタイトおよびコラーゲンの最適なX線回折条件を調査し,X線回折装置内に導入可能な引張負荷試験機を導入し,外的負荷時の骨組織内のアパタイト-コラーゲン両成分のX線回折像を計測することが可能となった.目的としている,外的負荷時の回折パターンの変化を解析し,各成分の変形状態を求めることで,その力学的相互作用を実験的に観察することができた. 平成29年度に予定していた上記の目的が予想より早く達成されたため,平成30年度に予定していた高分子マトリックスの石灰化を目的とした高分子誘導液体前駆体(PILP)プロセスによる新規石灰化組織作製法の開発にも着手することができた.牛大腿骨皮質骨試料を用いた資料では,ラマン分光解析の結果,十分な再石灰化が確認され,石灰化組織作製手法の確立に早期に成功することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては,開発した高分子誘導液体前駆体(PILP)プロセスによる新規石灰化組織作製法に基づき,高分子誘導液体前駆体プロセスによる生体由来ミネラルおよび高分子マトリックスからなる石灰化骨様マテリアルの作製に取り組む.構成成分の選定,作製条件の検討を行い,より最適な石灰化組織作製手法の確立を目指す.また本外国人特別研究員が有する走査型電子顕微鏡(SEM)ならびにエネルギー分散型X線分光(EDS)分析に基づく微視的構造イメージング技術に基づき,作製された石灰化組織の構造特性を調査する. また進展が良好なため,生体由来ミネラルおよび高分子マトリックスからなる複合構造に基づくマルチスケール力学モデルの構築にも取り掛かる.X線回折により測定された両成分の力学挙動データと微視的構造イメージングによる構造特性から,石灰化骨様マテリアルの微視構造特性とマクロな力学特性を関連付けるマルチスケール力学モデルを提案する.最後に提案する生体由来ミネラル-高分子マトリックス複合力学モデルを用い,高分子-ミネラルX線回折データからマクロな石灰化組織の力学特性を表現する数理力学モデルを提唱する.各材料パラメータをデータベース化し,高分子-ミネラルX線回折データからマクロな組織力学特性を逆推定するアルゴリズムを提案し,石灰化コラーゲン組織の特性解明と高分子誘導液体前駆体(PILP)プロセスによる石灰化骨様マテリアル評価手法としての本法の可能性について考察する.
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