2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気・陸上生物・海洋圏に係る温室効果気体の全球規模循環の解明
Project/Area Number |
17GS0203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中澤 高清 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (30108451)
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Keywords | 温室効果気体 / 二酸化炭素 / メタン / 一酸化二窒素 / 酸素 / 物質循環 / 同位体比 / 氷床コア |
Research Abstract |
本研究は、CO_2、CH_4, 、N_2Oを対象として、発生・消滅プロセスや人為・自然的要因による変動を明らかにし、人為起源温室効果気体の収支とその時間変動を理解する事を目的としている。今年度の主な研究実績の概要は以下の通りである。 1.地上基地、航空機、船舶を用いたCO_2、CH_4、N_2O濃度やそれらの同位体比、O_2濃度の広域観測を継続実施するとともに、南極昭和基地で新たに開発されたJ-Tサンプラーを用いた成層圏大気の観測を行い、O_2濃度の連続観測を三陸沿岸でも開始した。また、得られた濃度と同位体比のデータを解析して、時間空間変動の実態を明らかにし、その原因を考察した。 2.CO_2とSF_6の濃度データを解析して北半球中高緯度の成層圏大気の平均年代を求めたところ、高度20km以上の平均年代は、化学気候モデルによる予測に反して、変化していないという重要な事実を発見した。 3.大気中N_2Oのアイソトポマー測定から、全球規模のN_2O濃度の増加にとって、同位体的に軽いN_2Oを放出する発生源が重要であることを明らかにした。 4.陸上生物の寄与を除いた大気中O_2濃度の季節変化が秋に高い値を示すことを観測より見いだし、夏季における海洋生物の一次生産によって蓄積されたO_2が、秋季の混合層の発達によって放出されたためであることを明らかにした。 5.大気輸送化学モデルを高度化するとともに、それらを用いたCO_2、CH_4、N_2Oの濃度および同位体比の数値シミュレーションを実施し、時間空間変動に対する大気輸送の効果や発生・消滅源の影響を検討した。また、CH_4についても逆解法解析を開始し、人為起源と自然起源の放出源強度を推定した。 6.氷床コアから抽出された空気のCH_4のδ^<13>CとδDを分析する技術を確立し、実際のコアに適用することにより亜氷期-亜間氷期サイクルを復元することに成功した。
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Research Products
(96 results)