2006 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質と標的蛋白質の微視的相互作用解明のための化学構造生物学
Project/Area Number |
17GS0221
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長田 裕之 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 主任研究員 (80160836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 稔 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 主任研究員 (80191617)
城 宜嗣 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 主任研究員 (70183051)
掛谷 秀昭 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 副主任研究員 (00270596)
臼井 健郎 筑波大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (60281648)
林 雄二郎 東京理科大学, 工学部, 教授 (00198863)
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Keywords | 受容体 / リガンド / 化合物アレイ / ライブラリー / 蛋白質 / 低分子化合物 / 結晶構造解析 / 標的分子 |
Research Abstract |
本年度は下記の3体制で研究を行った。 1.受容体・リガンドの効率的検出: これまでに分裂酵母の全遺伝子を蛍光タンパク質として分裂酵母で発現させる系を構築したが、今年度は、これらの蛍光タンパク質を高度に発現、精製する系を確立した。これを用いて新規抗腫瘍物質spliceostatinの結合タンパク質がPrp10とPrp12であることを見いだした。また、光親和型リンカーを導入したガラス基板を用い、およそ8000種類の天然、及び、非天然低分子有機化合物をマイクロアレイ化し、種々の蛋白質との結合実験を実施した。 2.蛋白質と低分子化合物の微視的相互作用解析: ヘム結合型二原子酸素添加酵素インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼの結晶構造を世界で初めて報告した。さらに、放線菌の抗生物質生合成系に関わる酵素群の構造解析に成功した。さらに基質(反応薬剤)や阻害剤との複合体の構造解析にも成功しつつある。また、ユビキチン活性化酵素(E1)阻害剤panepophenanthrinをリード化合物として、細胞膜透過性に優れた新規ユビキチン活性化酵素(E1)阻害剤RKTS-81を開発し、その相互作用解析を開始した。 3.蛋白質・リガンド相互作用の実証: 免疫抑制物質brasilicardin A(BraA)の細胞内標的分子が、アミノ酸トランスポーターとして知られているSystem L(4F2/CD98複合体)であることを見出した。さらにBraAの構造類縁体を作成してそのアミノ酸取り込み阻害活性、および細胞周期阻害活性の検討を行い、BraAのアミノ酸部分が阻害に必須であり、また糖部分が重要であることを明らかにした。また、血管新生阻害剤であるEpoxyquinol Bの有機化学的実験結果から、前駆体エポキサイドの二量化反応にDiels-Alder反応を加速する酵素が関与する可能性が強く示唆された。
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