2005 Fiscal Year Annual Research Report
成体脳神経幹細胞の活性化とニューロン新生:その制御機構の解明と可視化技術の開発
Project/Area Number |
17GS0317
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柚ざき 通介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40365226)
宮脇 敦史 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, チームリーダー(研究職) (80251445)
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Keywords | 細胞・組織 / 神経科学 / 動物 / 脳・神経 / 発生・分化 / 神経細胞新生 / 神経細胞移動 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
1.神経幹細胞に強く発現するRNA結合蛋白質Musashi1がPABPに結合してPABP-eIF4G間の結合を阻害し、PABP・翻訳開始因子複合体によって促進される5'cap依存的な翻訳を低下させることを明らかにした。この翻訳阻害効果は、Musashi1認識配列を有するRNAでのみ観察された。従ってMusashi1はPABPとelF4Gの結合を競合阻害することにより翻訳を抑制していると考えられた。 2.Galectin-1は、その糖鎖結合能によって、成体脳内の神経幹細胞の増殖を制御している事が、我々の研究により示唆された。そこで今回、糖鎖結合型Galectin-1変異体(CS-Galectin-1)固定化カラムを作成し、そこに神経幹細胞を含む細胞破砕溶液を反応させ、Galectin-1と結合する分子群を濃縮、精製した。それらの分子を質量分析計にて同定したところ、Atpla3,GLT-1等の分子群が見出された。また、同時にIntegrinBeta1についても、成体脳内でGalectin-1と結合している事を示唆する結果を得た。今後、これらの分子群の成体脳内での発現パターン、およびGalectin-1との結合が神経幹細胞の制御にどの様に関わっているかについて、詳細に解析する予定である。 3.組織免疫染色によりNestin-d4Venusトランスジェニックマウスでは、従来のNestin-EGFPトランスジェニックマウスと比較して、発生期の神経幹細胞の局在が知られている脳室周囲においてより限局した発現パターンが確認された。これらの細胞は分化したニューロンのマーカーであるbeta-tubulinIII陰性であった。さらにFACSを利用した解析によりd4Venus陽性細胞画分には自己複製能と多分化能を有する神経幹細胞が濃縮されることが確認された。
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Research Products
(6 results)