2017 Fiscal Year Annual Research Report
映画フィルムの長期保存のためのアーカイバル技術の研究
Project/Area Number |
17H00003
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Research Institution | 株式会社IMAGICAウェスト |
Principal Investigator |
松尾 好洋 株式会社IMAGICAウェスト, 映像事業部, 映画フィルム修復
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 映画保存 / フィルムアーカイブ / 写真保存科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では映画フィルムの長期保存のためのアーカイバル技術について、以下の4点について調査と技術的検証を行った。 1. 二流体洗浄(純水と空気を混合した液)を用いたフィルムクリーニング技術 2. 白黒フィルムの銀画像を大気汚染物質から保護するための耐性向上技術 3. アセテートフィルムの加水分解によって発生する酸性ガスの除去技術 4. フィルムに発生したカビを除去するための紫外線殺菌処理技術 1については、一般的に映画フィルムに使用されるクリーニング溶剤(テトラクロロエチレン)と比較してエマルジョンへの浸透性があるため、フィルム表面だけでなく内部の汚れも除去できることがわかった。2については、既にスチル写真の分野では実用化されている白黒銀画像の耐性向上技術(富士フイルム社製の「Agガード」を使用)を映画フィルムへ転用した。保護処理を施した後に過酸化水素による劣化加速試験を行ったところ、保護処理を施さなかったものと比較して大幅に耐性が向上していることがわかった。研究成果については日本写真学会年次大会において研究発表を行った。 3については、アセテートフィルムの劣化によって発生する酢酸ガスを除去する装置(フィルム専用の「枯らし機」)及び活性炭を使用した吸着剤を開発した。検証の結果、両者ともにフィルムに含まれる酢酸ガスを大幅に除去する効果が認められた。 4については、フィルムに発生したカビに対して紫外線253.7nmを照射する実験を行った。その結果、フィルム面のカビに対して高い殺菌効果があることがわかった。研究成果については画像関連学会連合会において研究発表を行った。 以上、1-4の映画フィルムのアーカイバル技術は世界でも初の試みであり、実験結果においても一定の効果が得られた。今後、実用化のためにさらに研究を進めて行く。
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Research Products
(3 results)