2017 Fiscal Year Annual Research Report
平安時代後期における瓦生産体制の地域性に関する考古学的研究-丸瓦・平瓦を中心に-
Project/Area Number |
17H00024
|
Research Institution | (公財)京都市埋蔵文化財研究所 |
Principal Investigator |
李 銀眞 (公財)京都市埋蔵文化財研究所, 調査研究技師
|
Project Period (FY) |
2017
|
Keywords | 平安時代後期 / 瓦 / 考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では平安時代後期、平安京(中央)へ瓦を供給した各地域(地方)の瓦生産体制を考古学的方法で解明することを目的とした。とりわけ、軒瓦にとどまらず、丸瓦・平瓦を積極的に分析することで、各地域の独自性を解明することが主目的である。 丸瓦・平瓦は、軒瓦より形態や製作技術が単純であり、膨大な量が出土するため、戦略的に扱う必要がある。本研究では、工人が瓦を製作・焼成していた作業場である瓦窯跡から出土した丸瓦・平瓦を主な分析対象とする。具体的には丹波系瓦の生産地である京都府亀岡市篠窯跡群を始めとして、播磨系瓦の生産地である兵庫県の神戸市神出古窯跡・三木市久留美古窯跡・高砂市魚橋瓦窯跡、讃岐系瓦の生産地である香川県綾歌郡ますえ畑瓦窯跡の出土瓦を中心とする。 そのために、まずこれまでに発掘調査の実施された遺跡について、報告書をもとに資料集成を行った。丸瓦・平瓦は実際に発掘調査報告書にはごく一部の資料のみ取り上げて概括的に説明されている場合が多い。そのため、現地へ資料調査に赴き、資料の詳細な観察を通して、各地域の製作技術的な特徴を分析した。また、各地域における研究史的な検討とともに各資料の整理・図化作業を行った。 本年度は京都府亀岡市篠窯跡群の丹波系瓦や兵庫県の神戸市神出古窯跡・三木市久留美古窯跡の播磨系瓦を中心に行ったため、まだ未調査資料が多く残っている。そのため、さらに基礎的な資料調査を継続し、瓦生産体制の諸地域の特色を明確にしていく予定である。現在、京都府亀岡市篠窯跡群の丹波系瓦をケーススタディーとして論文にまとめている段階である。今後、この研究成果に播磨系瓦や讃岐系瓦の情報を加え、地域間の比較検討を行い、瓦生産体制の解明へ踏み込んで、その研究成果を発信し共有していこうと考えている。
|