2017 Fiscal Year Annual Research Report
南米の日本人移住地における持続的農牧業の展開とその教材化
Project/Area Number |
17H00027
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 智章 早稲田大学, 早稲田大学高等学院, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 森林保護 / 大豆栽培 / イグアス移住地 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 世界有数の生産量を誇るパラグアイ共和国の大豆栽培は、1980年代に日本人移民が「不耕起栽培」と呼ばれる農法を導入してから拡大・発展してきた。一方、大豆栽培の拡大は森林伐採の一因にもなり、パラグアイにおいても森林保護に対する視線は厳しくなっている。このような中、日本人がどのような対策を講じているのかを調査し、そこから得られた成果を中等教育段階の南アメリカ州の地誌学習に活用し、効果的な教材のあり方について検討することが本研究の目的である。 【研究方法】 不耕起栽培発祥の地で、環境保護対策において新しい動きがみられる南部のイグアス移住地、開設時期や高知出身者が多いなどイグアス移住地と複数の共通点がみられる南部のピラポ移住地を訪問し、日本人会・農業協同組合・各農家などからの資料収集や聞き取り調査を行なった。なお現地調査は2017年8月25日から9月4日に行った。 また、2018年2月に中学地理の南アメリカ州の学習において、作成した教材を利用した授業を行なった。 【研究成果】 イグアス移住地では、植林活動のほか、肉牛の処理施設の運営など日本人会や農業協同組合による大豆栽培以外の動きがみられた。ピラポ移住地でも農業経営の中心は大豆栽培であったが、環境保護政策等においてイグアス移住地ほどの顕著な取り組みは見られなかった。以上のようなパラグアイ国内の日本人移住地の共通点や相違点の一部が明らかになった。 中学の授業では、森林を保護するための政策を考えさせた後に、実例としてイグアス移住地の取り組みを紹介した。政策として「植林」を挙げる生徒が多かったが、それらが実際に行なわれていることを知り、自分たちの考えが実際の政策と乖離したものではないことを実感させる一助となった。
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