2017 Fiscal Year Annual Research Report
AYA世代がんサバイバーヘの心理社会的支援 : 学業と職業に関する研究
Project/Area Number |
17H00042
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Research Institution | 株式会社リエゾンカウンセリング研究所 |
Principal Investigator |
河野 裕子 株式会社リエゾンカウンセリング研究所, 代表取締役/コンサルタント
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | AYA(Adrcccnt and Young Adult) / がんサバイバーシップ / 質的記述的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、AYA世代(Adolescent and Young Adult)のがんサバイバーが、日々、直面する心理社会的課題に対し包括的な支援を提供するために、彼らが抱えている心理的ニーズと、就学や就労ならびに経済的課題を明らかにすることを目的に行った。NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のインタビューガイドを参考に、患者会を通じて応募があった10都道府県在住のがんサバイバー19名の研究参加者に、半構造的インタビューを行い分析した。その結果、がんサバイバーは、がんの告知を受け、医師から治療の選択を短時間で求めれる経験、セカンドオピニオンや専門医を探すプロセス、そして死を認識することを契機に、高い自律性と主体性を身につけて、専門医学会が公表する医療情報等から一人で意思決定をしていることがわかった。その一方、診断から退院までの医療費の自己負担額は約100~500万円と高額で、半数が両親等から経済的支援を受けていた。また、退院後も長期に化学療法(抗がん剤や分子標的薬)を行う場合、自己負担額が月4~9万円と、高額医療費の限度内であっても、その経済的負担は少なくない。また、就労との両立を図るうえで、職場に合理的配慮の制度があると答えたのは半数で、通院による化学療法と就労の両立が大きな課題であることが分かった。さらに、妊孕、結婚、幼い子を持つ親として不安など、枚挙を厭わない心理的課題について、相談相手を親や友人、配偶者に求めることは、相手に対して過度な精神的負担を与えることを経験しており、死に直面する危機的な心理状態への対応を訓練した専門家への相談を必要としていた。そのため、現在は、同じ疾病や同世代のメンバーで構成された患者会が、がんサバイバーの抱える孤独感や不安の軽減に、大きく貢献していることも明らかになった。
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