2017 Fiscal Year Annual Research Report
「いのち・生きる」を軸にした幼児教育観の構築-阪神淡路大震災からの学び
Project/Area Number |
17H00053
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Research Institution | 日本基督教団付属 西宮公同幼稚園 |
Principal Investigator |
菅澤 順子 日本基督教団付属 西宮公同幼稚園, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | いのち / 自然 / 出会い |
Outline of Annual Research Achievements |
春、新入園の子どもたちの目と心を捉えて離さない、幾つ手があっても足りないおとなを支えてくれるのが「ダンゴムシ」。じっと見る、触ってみようとする、集めて見せにくる、ポケットにたっぷり、頭を寄せ合ってのダンゴムシ会議などいろいろな姿が見られる。新入の子どもたちのはじめての「いのちとの出会い」。そのダンゴムシが多く棲息する木々豊かな広場、5月半ばくらいになるとその中の一つのみかんの木の葉に卵が見られる。くすの木やサンショウの木などにも卵が見られ、分けてケースに入れて毎日の見守りが始まる。入園という新しい世界の始まり、そこからいのちとの出会いが次々に広がる。園の前の川、少し歩いての畑での日々の出会い、また広い場を得ることになって10年を迎えようとする里山での時間。田植えや茶摘み、稲刈りなどの生活への加わりと同時にここでも「いのちとの出会い」が多く与えられてきた。 四季を通しての豊かな出会いと恵みをカリキュラム化したいと願った。これまでの個々の記録を持ち寄り、季節を基点にしながら子どもの成長とともに広がっていく出会いを整理したことが一点、これは今後園での保育の中で生活が進められていく折の貴重な補助資料となる。里山への訪問は年に10回ほど、それらが約10年続けられてきているので膨大な記録の中からの整理が行われた。 次にそれらの時間を過ごした子どもたちが就学したのちに、その出会いがどのように子どもたちの中に残り、そのことが次への学びを押し出していっているかを調べたいと願った。 小中学生になっても機会のある里山への道程とそこでの時間、またキャンプなどでの限られた時間ではあるが、園時代とはまた違う視点を持ち、かっての時間とつなげて考えていく体験は貴重なものである。小学校へのつながりの検討の中で、里山体験が学校の学びの中に大きく位置していることを知らされることが多くあり、これらから、いのちを見つめて生きる時間が次の歩みを押し出し、子どもたちを育てるものであることを強く受け止め、時間を縦、世界の広がりを横軸としての表を作成した、そしてそれを「いのちを見つめて子どもは育つ」として冊子を作成した。
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