2017 Fiscal Year Annual Research Report
学びのヴァルネラビリティを可視化し主体的な学びの目的を明確にする学習教材の開発
Project/Area Number |
17H00063
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
安谷 元伸 滋賀大学教育学部附属中学校, 教育学部附属中学校, 講師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | ヴァルネラビリティ / 思考ツール / 主体的な学び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「新しい時代に必要となる資質・能力の育成と学習評価の充実」の重要な視点のひとつの「どのように学ぶか」に着目して、アプローチを試みた。学習者が主体性を持って学びに取り組むには、学びの問題、課題を学習者が客観的に意識、認識する過程が重要であり、学習者が主体的な学習に転じるために認識するべき課題を学びのヴァルネラビリティとして把握することで、教員や環境などの側面的な援助も踏まえて体系化した克服、修復、解決へ至る学習活動が可能となると考えた。 そこで学びの問題、課題を客観的に意識するため思考ツールを用いて具体的に認識する学習展開に取り組んだ。実践は中学校段階で行う情報教育「情報の時間」で行った。思考ツールにより視覚化された情報を学習者自身が確認、分析し、グループ学習を通して比較や共有にも意識的に取り組むことで、多角的に事象を見ることが出来るようになった。その上で、自分の学びのヴァルネラビリティとなる課題、問題を見出し克服、解決に至ることを目指した。その過程で、学びのヴァルネラビリティを認識する活動で思考ツールを更に有効活用できるように、ネットワーク環境に依存しないタブレット端末による無線提示装置を開発、運用して成果を得た。これら研究成果は学会等で発表し、多様なご意見や新たな見識を得ることにつながった。 思考ツールの利活用向上を目的に開発した無線提示装置は、教科を超えた活用に発展して有用性を確認するに至った。一方、学びのヴァルネラビリティについては、思考ツール利用で学習者に学びの主体性を促せたものの、その意識化は明確となっていない状況等も把握された。また、学びのヴァルネラビリティに関しては、捉え方がPDCAサイクルのようなドライな見方ができるものであり、本来ヴァルネラビリティが内包している許容としての意味合いが弱いのではないかという指摘も頂き、今後の研究の方向性の示唆が得えられた。
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Research Products
(4 results)