2017 Fiscal Year Annual Research Report
家庭教育を支える学習組織としての父親の子育てネットワーク活動の成立条件と類型化
Project/Area Number |
17H00078
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Research Institution | 父親ネットワーク北海道 |
Principal Investigator |
吉岡 亜希子 父親ネットワーク北海道, 事務局長
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 父親 / 子育てネットワーク / 家庭教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「おやじの会」をベースに父親の子育てに関わるネットワーク活動を行っている団体を家庭教育を支える学習組織と捉え、その成立条件・展開過程を整理し類型化を行った。地域のつながりの希薄化などを背景とした保護者の孤立が深刻化しており、家庭教育が困難な状況となっている。こうした現状から家庭教育を支える公的取り組みは進展しつつあるが、すべての親の学びや育ちを支えるには限界がある。公的な支援と市民組織の協働は喫緊の課題といえよう。とりわけこうした協働には従来の子育て支援専門職や母親だけでなく、父親や地域住民などの多様な主体の参画による豊かな支え合いに期待が高まっている。そこで本研究では、地域に新しい学習資源を生み出す組織としては必ずしも認識されてこなかった父親たちの子育てネットワークに注目した。「おやじの会」を出発点に、全国各地で組織されている父親たちの“子育てネットワーク”の内、主要7団体(北海道2団体、宮城、東京、京都、香川、福岡)を対象にインタビュー調査と資料精査を行った。いずれも先進的かつ目的志向性が際立った団体といえる。分析の結果、①学習内容の志向性(横軸)と②活動範囲(縦軸)から4つに分類することができた。①の視点からは、a. 学校教育を支え、なおかつ、子育て・教育からの地域コミュニティ再構築を志向する“学校支援・地域づくり型”とB. 性別役割分業を乗り越え、父親特有の子育て課題の問題共有を志向する“男女共同参画型”に分類できた。一方、行政と市民組織の協働モデル構築には、②の視点が必要であると考え、c. 学校単位など限定された範囲の“地域密着型”と、d. 父親全般を対象とした働きかけを想定しながら全国単位の組織づくりを展開している“広域型”に分類した。本研究によって父親の子育てネットワークが家庭教育を支えるための学習組織として重層的に機能していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)