Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的 本研究では, 新学習指導要領の主旨に即した今後求められる主権者教育の在り方の追究を目的とした。具体的には, 「選挙史」をテーマに, 中学校社会科の歴史と公民の両分野の連関を意識した「歴公連携」のカリキュラムを提案し, それが主権者教育に与える有用性について追究した。 研究の方法 まず, 前年度までの研究を基に, 次代に求められる主権者教育論と単元構想の枠組みを構築した。特に今年度は, 今後の主権者教育の方向性を詳細に分析した上で, その理論的研究を行った。また, 選挙史学習や政治認識に対する生徒の実態調査等の実証的研究に関する資料も収集・検討して, 新学習指導要領に沿った独自の単元を構想した。 7月には, 政治及び歴史の認識や社会科への関心等に対するアンケート調査を実施し, 生徒の実態を把握した。8~12月には, その実態に基づいた具体的な指導計画を立案し, 1月下旬に授業実践を行った。 尚, 本研究の概要や進捗状況については, 学会での発表や論文の執筆を通して公表した。 研究の成果 本年度は中学2年のみの授業担当であった。本研究は, 公民的分野との連携カリキュラムのため, 現時点では指導計画の完全な実践には至っていないが, 前半2時間分の実践を通して, 生徒は選挙制度の利点や課題を多様な視点で考察することができた。第1時では, 身近な経験を通して現代の選挙制度の現状を把握した。続く第2時では, 明治時代の選挙制度の特色を前時との比較から捉えたことを基に, 時代の特色と次代への影響を考え, 文章として表現することができた。今後も指導計画に沿って展開していくことで, 「歴公連携」のカリキュラムが, 歴史的変遷をふまえて現代社会を多面的に捉え, 今後の社会に対する実現可能な展望と主体的形成者としての意識の涵養に有用であることを検証していく予定である。具体的な成果と政治意識の変容の分析等についても, 研究を継続する中で進めていきたい。
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