2017 Fiscal Year Annual Research Report
小学校算数における数学的な考え方を育てる対話的反転授業プログラムの開発
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17H00144
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤川 峰大 神戸大学, 附属小学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 反転授業 / 対話的な学び / 数学的な考え方 |
Outline of Annual Research Achievements |
資質・能力を育成するために, より高次の数学的な考え方に洗練させていくための対話的な学びが重要視されている。近年, 集団学習の場を, 動的で双方向型学習環境へ変容させる教育アプローチとして反転授業は期待されている。反転授業は, 全員が一定以上の水準に達することをめざす「完全習得学習型」と授業の目標を高次能力に設定する「高次能力学習型」に分けられる。資質・能力育成のためには後者が必要であるが, 小学校算数科において, 具体的な授業プログラムが実証的に明らかにされていない状況であった。そこで本研究は, 「高次能力学習型」の反転授業プログラムを開発し, 児童の数学的な考え方の伸長への効果を調査することを目的とした。研究対象は, 第6学年「速さ」の第1時である。速さを求める式とその意味を正しく関連付けることができることを目標とした。2クラスを対象にし, 一方を「本提案型学習」他方を「従来型学習」で授業を行い, 授業後に学習理解度調査を行った。いずれの学級でも事前に異種の割合に関わるレディネステストを実施し, 授業終了後の評価問題との比較から考察を行った。 本提案型学習では, 反転方略を用いて, 自力解決の一部を家庭学習で実施させた。その結果, 一斉授業の中では, ①考え方の読み取り②対応数直線での表現③数値の吟味④他の数値での適用の4つの対話的な学びの場面を行うことができた。 一方, 従来型学習では, 時間的な制約のために, ①考え方の読み取り③数値の吟味の2つの対話的な学びの場面しか設けることができなかった。 評価問題の結果, 意味と式が正しく関連付き, 数値判断もできている児童の割合をレディネステストと比較すると, 従来型授業では, 7.5ポイントの上昇だったが, 本提案型授業では, 32.3ポイントの上昇となった。反転方略により集団学習での対話時間を増加させることで, 児童の「数学的な見方・考え方」がより伸長されることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)