2017 Fiscal Year Annual Research Report
遊びの中に見られる幼児の数学的思考力, 表現力の育ちに関する研究
Project/Area Number |
17H00150
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
片山 敬子 山形大学, 附属幼稚園, 教員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 数学的思考力 / 数学的活動 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 本研究は、幼児の数学的な概念や思考力に関する研究である。「算数科」としては切り取られていない幼児の園での生活や遊びの場面で、子ども達はどのように数学的感覚をもち、育まれていくのかを検証する。本研究によって、小学校就学前の子ども達がどのような数的世界を味わい、数学的な概念や思考力・表現力を獲得し、教科としての「数学的学び」に結びついていくのかを明らかにする。 ○研究方法 : ①幼稚園での生活、遊びでの数学的体験、環境設定の実態を調査する。 園内の遊びや環境を改めて見直し、数を数える、形を捉える、量・長さを比較する等の数学的活動と見られる事例を集め、子ども達の数学的な世界への興味関心を把握する。 ②幼児期の数学的体験を生かした算数科導入期の授業構想を練る。 小学校1年生の算数科の授業の導入時期を参観し、「幼児期の数学的体験を生かした授業づくり」「園内に見られる数学的活動について」小学校教諭と情報交換を行う。 ③先進園・校を視察し、園内の環境設定や遊びの観察、また新学習指導要領全面実施に向けての「算数科」の動向を学ぶ。 ④子ども達が数学的世界に親しみ数学的思考を育むような遊び、一斉の活動、環境づくりを工夫する。 ○研究成果 : 園内での数学的環境、活動は想像以上に多く、3歳児から日常的に触れていることがわかった。特に、子ども達が使用し易いように整理された道具類も、「形を捉える」「身の回りの物をある観点から分類する」という数学的体験・活動であり、幼児が「これはどの仲間か」と課題意識をもって分類し思考している姿を実感した。また数唱はどの年齢でも親しまれているが、「物を数える楽しさ」から徐々に「数量的な意味」をもった数の理解へとつながっていく。小学校「算数科」の実感を伴った理解への土台づくりとして、幼児期には、数学的知識を獲得することよりも、子どもの数学的興味関心に寄り添い、子どもの思いや願いを叶えられる豊かな体験をさせることが必要であると考えた。
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