2017 Fiscal Year Annual Research Report
統計と確率を結び付ける数学的モデリングの授業に関する研究
Project/Area Number |
17H00159
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
藤原 大樹 お茶の水女子大学, 附属中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 統計 / 確率 / 数学的モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 中1において統計と確率を結び付ける授業を構想・実践し, その位置付けの可能性と指導の手立てを探ることを主たる目的とした。 先行研究にある, ビジネスにおけるデータ分析の局面(説明的分析, 予測的分析, 指示的分析), 数学的モデリング過程, 統計的問題解決過程を参考に, 活動の模式図を作成し, 実験授業「貸し出し靴を買い換えよう」を行い分析した。本研究の成果は以下のとおりである。 ①実験授業の活動においては, ほとんどの生徒が各サイズの相対度数を求め, (暗黙裡ではあるが)その後も同じ割合で借りられると仮定して計算し, 意思決定していた。相対度数を確率とみなしている姿である。中1の統計と確率を結び付ける授業として, D領域の学習の最後に位置付けることが妥当である。 ②単純に, 各サイズの相対度数を基に買う足数を決定する生徒のみならず, 更に批判的に考察し, 現実的な条件を加味して決定を修正する生徒が多く見られた。他者との交流により決定をさらに修正する生徒もいた. ③相対度数を確率とみなす中で, その行為を暗黙裡にしてしまい, みなしてよいかを批判的に検討しない生徒が多かった。この行為の是非を検討させ自覚化を促すことが, 統計と確率を結び付ける過程で必要な考え方を指導する手立てとなる。 ④「貸し出し靴を買い換えよう」と同様に, 作成した模式図を基に, 中2「四分位範囲・箱ひげ図」で統計と確率を結び付ける実験授業「相手投手を攻略しよう」を構想した。 本研究の意義は, 過去のデータを基に未来へ意思決定するという, 実社会で度々行われる行為の背景にある大切な考え方を学ぶ授業を開発したことである。新学習指導要領では中1・中2のそれぞれで統計と確率を学ぶ予定であるが, 統計と確率とを関連付けた中学校の指導についての実証的な研究はない。平成30年度から始まる学習指導要領の先行実施(移行措置)に向けても, 必要不可欠な研究である。
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Research Products
(4 results)