2017 Fiscal Year Annual Research Report
協働的な思考場面をつくる物理実験の課題設定とその実践
Project/Area Number |
17H00173
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 英治 広島大学, 附属福山高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 課題設定 / 協働学習 / 論理的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 本研究は, 考察場面を中心とした教材, 特に力学分野の課題実験や探究活動で, 実験方法や結果から結論に至るまでの考察場面の思考を重視した教材の開発に取り組んだ。考察場面は, 論理的・科学的に帰結する課題, 学習者の協働的な議論によりその妥当性の検討ができる課題且つ実験により展開が諮れるものを基準に設定した。 2. 教材開発と授業実践の成果 具体的には次のような教材の開発に取り組み, 授業実践を行った。 ○「力のつりあいと橋の構造」(高校1年 : 物理基礎) 橋には様々な種類があり, それぞれに利点がある。本教材では, 斜張橋とアーチ橋に関して桁橋と比較し, それぞれの橋の構造のもつ利点を力学的な観点(力のつりあい)から論理的・科学的な説明で議論して橋の利点を導かせた。 ○「向心力f=mrω^2の検証」(高校3年 : 物理) 理論から導出された4つの変数をもつ向心力の式が実際の円運動の物体で成立していることを実験により検証させた。 <<成果>> 高校の内容の多くは理想的な物体や条件・状況下での物理の規則性を学ぶ。一方, 用いた橋の構造の教材は, 実在のものであり, 力の効果(物体の変形など)なども含めて考察できなくてはならない。また, 向心力の教材も実験装置で測定できる量とできない量があることを認識し, 学習者が条件制御や実験手順を論理的に構成しないと検証できない。両教材とも想像する力が伴い, 学習者が相互に話しあい意見を出しあって結論にたどり着く過程で, 協働的に学習する効果があった。一方, 指導者が考察の支援のためのヒントや助言も必要な箇所があり, 課題実験を行う上では教師の支援のあり方が重要な要素であった。
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