2017 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術の利用に対する倫理観の育成を目的とした後期中等教育科目「生物」の授業研究
Project/Area Number |
17H00188
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Research Institution | 同朋高等学校 |
Principal Investigator |
棤木 振一郎 同朋高等学校, 教員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 倫理 / 高校教育 / 生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、次世代を担う若者が、科学技術の成果の社会的な利用について、倫理的な観点から評価できる力をつけるための後期中等教育における生物授業(生命倫理学)の開発である。高等学校の科目「生物」において倫理学的な視点から学ぶことができるテーマは複数ある。そのため、本研究では「生殖と発生」の単元で優生学や出生前診断という社会問題について触れることで命の意味や価値について学ぶことができる授業の開発を行った。 具体的な方法として、次の3つの項目を取り入れて生徒の意識調査を行っていった。1点目は、通年で「障がい」や「社会福祉」について考える機会を設け、優生学などに通ずる社会学の視点を生物の授業内に取り込んだ。2点目は、私自身が大学や医療機関の専門家に直接取材を行い、その内容を授業へ還元した。3点目は、一部の授業をインターネット上で配信し、その授業を踏まえた内容を地域の人々や生徒の保護者と共に考えるシンポジウムを開催した。 これらの授業開発の結果、次の点が明らかになった。①他教科をまたぎ授業を展開することで、生物学以外の教科への関心が深まっていた。②教科書の内容が教科「生物」の中で閉じており、生徒の中で社会問題との関連性が生まれていない。そのため、1年時に倫理学を学んでいるにも関わらず、生殖医療技術を紹介しても多くの生徒が技術面に対する評価に意識が集中し、倫理的な面からの評価ができない意見が多数あった。③授業の様子(教員の説明だけでなく、生徒の発言も公開する形式)をインターネット上に公開することで、受講者が自分の意見に責任を持ち、これまでより能動的な受講姿勢であった。④シンポジウムで普段の授業の内容を大人と共に考えることで、世代間での意識の違いを学ぶ機会となった。
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Research Products
(1 results)