2017 Fiscal Year Annual Research Report
科学的思考力の育成過程をテキストマイニング法により検証する試み
Project/Area Number |
17H00199
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
森中 敏行 大阪教育大学, 附属高等学校天王寺校舎, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 科学的思考力 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
科学的思考力の育成において課題研究は有効であり、その要因は、生徒の思考や行動の自由度にある。しかし自由度が高くなれば時間を費やす。そこで、課題研究のある過程で自由度を制限することで、時間的問題を克服しながら、科学的思考力の育成が可能であるのか、また可能ならどの過程で制限を加えることが効率的なのかを検証した。具体的には、高校3年生「生物」において、「酵素」をテーマに次の4つのレベル1~4を設定して探究学習を行った。 1. 実験データから考察を行う。 2. 検証方法を検討し、実験・考察を行う。 3. 仮設設定・検証方法検討・実験・考察を行う。 4. 課題を見出し、仮設設定・検証方法検討・実験・考察を行う。 検証方法は、各レベルのそれぞれの過程で生徒の自由記述表現をもとに形成的評価を行い、どの過程が「科学的思考力の育成」により有効であるかを次の①②の方法で行った。 ①各段階で「何が重要であったか」・「何を学んだか」、②各段階で「科学的とは具体的にどのようなことか? 」を自由記述させ、KH Coderを用いた「テキストマイニング」法により、分析を行った。 その結果、①については、どのレベルにおいても生徒間での差異は見られず、ほぼ同一の表現であった。教員が意図する目的をほぼ的確に理解し表現していた。一方、②では、論理的・再現性・客観的・実証的などのカテゴリーにまとめられたが、レベルとの相関はなく、レベルでの頻度に変化はなかった。つまり、①の検証では、より具体的な回答ばかりであり、概念レベルのものはなかった。また②では、経験と関係なく、知識としてのアウトプットに終始することになり、検証することができなかった。一方、2016年度に実施した予備研究では、科学的思考力の育成に手応えを感じていたため、新たな「質問項目」を設定する必要があることがわかった。
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