2017 Fiscal Year Annual Research Report
オージェ電子分光分析(AES)における絶縁体試料の帯電中和手法の検討
Project/Area Number |
17H00297
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大比良 由紀絵 東北大学, 工学研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | オージェ電子分光分析(AES) / 帯電 / 中和 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 目的 オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy, AES)を用いて絶縁体や半導体を分析する際に, 試料表面の帯電を軽減する手法を検討しその指針を得ることを目的とした。 2 結果とまとめ Al-oxide板とAlN板を用い, 3kV, 5nAの条件で試料表面のSEM像の観察とスペクトルの取得を行い, 中和銃OFFとON(10V, 30V, 100V)でそれぞれを比較した。中和銃OFFの観察ではどちらも, 像が局所的に白く光る・流れるといった, 試料表面が帯電したときに起こる典型的な現象が見られた。またスペクトルは低運動エネルギー側に大きなゴーストピークが発現した。中和銃ONでは100Vの条件ではどちらも倍率を下げれば像が局所的に白く光る現象を抑えられた。しかしスペクトル取得の際には数十秒過ぎると形状が変化していく様子が見られた。 AlCとAlNは粉体のみを押し固めるのではなく, Agメッシュ(#40)に圧粉して分析を行った。どちらも粉体の多い箇所(目開きの中心部)ではなくメッシュに近い箇所の粉体を測定エリアに選ぶことで, 60秒程度まではスペクトルを取得できた。それを超えると, スペクトル形状が変化するなどの現象が見られた。 以上から, 中和銃も金属メッシュも帯電を軽減させることができたが, 次第に帯電が蓄積していくと考えられ, さらなる検討が必要であると考えられる。 3 今後の課題 絶縁体や半導体試料の帯電を軽減できる条件を, 各種材料において検討することが必要であると考える。金属メッシュを用いて試料表面の帯電状態を改善することができれば, 測定用試料を再度作成する必要がなく, 試料そのものを加工しないため表面の汚損が避けられるという利点がある。また, 絶縁体や半導体は工業用材料として非常に重要であり, これらの材料の表面分析や深さ方向分析の手段としてAESの知見を蓄積することもまた重要である。
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