2017 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体によるマイクロ抽出を用いたイオン性薬毒物の高スループット分析法の開発
Project/Area Number |
17H00311
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Research Institution | 千葉県警察本部刑事部科学搜査研究所 |
Principal Investigator |
濵本 拓也 千葉県警察本部刑事部科学搜査研究所, 地方公務員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | イオン液体 / マイクロ抽出 / 薬毒物分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 薬毒物中毒事案の発生時には, 原因究明や犯罪捜査のため, 中毒者の体液等の各種水溶液試料について分析が行われる. しかし, 分析対象がイオン性薬毒物である場合, 高親水性であるため抽出が容易ではなく, 煩雑な前処理が必要となる. 以前我々は, 2価カチオンの薬毒物であるパラコートを水溶液試料から高効率で抽出可能なイオン液体(IL)を見いだすとともに, 当該ILを応用した水溶液試料中パラコート・ジクワットの高感度分析法を開発した. 本研究では, IL抽出が応用できる対象薬毒物をアニオンにも拡充し, 分析の高スループット化を図るための基礎研究として, 解熱鎮痛剤であるサリチル酸の1価アニオン([Sal]-)について高効率なIL抽出法および抽出試料の機器分析法を検討した. 2. 研究方法 【分配実験】Na[Sal]水溶液と種々の疎水性ILを混合し, 25℃で1時間撹拌して平衡化させた後, 水相中に残存する[Sal]-を紫外可視吸光光度法で定量し, 分配比を決定した. その結果から, 高い[Sal]-抽出能を持つと考えられるILを選択した. 【抽出比色分析】Na[Sal]水溶液にNa_2SO_4(相分離剤)および選択したILを添加し, 25℃で1時間の振とう抽出を行った. 抽出後のIL相を分取し, そこにFeCl_3エタノール溶液を加えて発色させ, 501nmにおける吸光度を測定した. 3. 研究結果 分配実験の結果, 高疎水性カチオンと高親水性アニオンから成るILほど[Sal]-抽出能が高くなる傾向が見られ, 塩化メチルトリオクチルアンモニウム([MTOA]Cl)が最も高い抽出能(最大分配比4.9×10^4)を示した. そこで, 当該ILを用いて抽出比色分析を試みたところ, 水溶液中の低濃度[Sal]-を検出・定量することが可能であった. 今後は, 本法について, 抽出操作の迅速化・簡便化や機器分析手法の高度化を図る.
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Research Products
(1 results)