2017 Fiscal Year Annual Research Report
海洋環境指標としてのアミノ酸組成及び濃度分布データベースの構築と海域間比較
Project/Area Number |
17H00318
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早乙女 伸枝 東京大学, 大気海洋研究所, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | アミノ酸組成 / グリシン含有率 / 人為的影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋環境の問題は、プラスチックゴミ汚染や水質汚濁など多岐にわたるが、ほとんどは人為的影響によるものである。また、海水中の溶存有機化合物の主要成分であるアミノ酸は、生物体を構成する重要な化合物であるため、様々な海域で測定されている。そこで本研究では、様々な海域で測定されたアミノ酸濃度や組成分布をデータベース化し、人為的影響の強さが海水中のアミノ酸濃度や組成にどのように反映されるかを見出すことを試みた。また、人為影響に違いがあると考えられる河川水のアミノ酸濃度及び組成分布を測定し、実際に人為影響の違いがアミノ酸濃度に反映しているかを検証することを目的とした。 様々な海域のアミノ酸データをまとめた文献でのデータに、現在までに所属研究所で測定したアミノ酸データを加えて、アミノ酸組成データベースを作成した。文献のデータについては、人為影響の程度については詳しい情報が得られなかったため、はっきりした傾向を見出すことはできなかった。ただ、外洋と内湾では、内湾のデータの方が人為影響を受けているだろうと推定できる。また、所属研究機関で取られたデータについては人為影響の程度がある程度推定できる。大雑把ではあるが、人為影響の程度が違うと考えられるデータについて、比較、検討を行った。 また、海洋汚染の少ない岩手県大槌湾はには流域人口の異なる大槌川、小槌川、鵜住居川の3河川が流入している。この3河川水についてアミノ酸濃度を測定して比較した。 外洋と内湾を比較した場合、内湾の方がグリシン含有率(モル%)が低い傾向にあり、また、所属研究機関での人為影響が高いと考えられるデータについてもグリシン含有率が低い傾向が見られたことから、人為影響が高い場合にグリシン含有率が低くなる傾向が示唆された。しかし、他の要因がないとは言えず、グリシン含有率が人為影響の指標となり得るかどうかはさらに詳細に分析する必要がある。
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