2017 Fiscal Year Annual Research Report
コルソン系合金の疲労試験におけるき裂発生と進展挙動
Project/Area Number |
17H00330
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
北村 純一 大分大学, 理工学部, 技術職員
|
Project Period (FY) |
2017
|
Keywords | 疲労破壊 / コルソン系合金 / S-N曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cu-Ni-Si合金(コルソン系合金)はNi_2Siの分散による析出硬化型合金でありBe銅には及ばないものの, 安価で強度と伝導率の組み合わせ特性が良好であることから, 現在も開発が活発に進められている. 機械電気電子部品の設計において, 材料の強度特性を把握することは重要であるため, Cu-Ni-Si合金においても組織や引張特性に関する報告は多い. しかしながら, 疲労特性に関する報告は殆ど無く, それらに関して調査することは有益であると考えられる. 疲労強度の評価や耐疲労特性の向上のためには, き裂の発生箇所と発生機構, およびき裂進展機構を明らかにする必要があるが, この種の研究はあまりなされておらず不明な点が多い. 本研究では, Cu-Ni-Si合金の高サイクル疲労試験を行い, き裂の発生と進展挙動に注目してCu-Ni-Si合金の疲労強度特性を調査することを目的としている. 実験は, 既存の小野式回転曲げ疲労試験機を使用して実施した. 試験片は丸棒試験片を使用し, 試験片表面の疲労被害の観察とき裂長さの測定は, 所定の繰り返し数ごとに採取したレプリカに真空中で金を蒸着させたものを, 金属顕微鏡を用いて測定した. その結果, Cu-Ni-Si合金のN=10^7に対する疲労強度は, 純銅と比較して約2倍に増大していることがわかった. レプリカ法により, き裂の発生位置は粒界部から発生しており, 隣接する結晶粒界に沿って進展している状況が確認できた. 粒界をSEMで観察したところ, 結晶粒界に析出物の存在しない領域が存在することですべり抵抗が低下することや, 数十nm程度のSi_2Niが析出していることでひずみが集中することが, き裂発生に影響を及ぼすことなど幾つかの疲労特性について明らかになった.
|
Research Products
(4 results)