2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00331
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北山 弘樹 金沢大学, 総合技術部機械開発部門, 技術職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 薄膜 / 吸音率 / 固有振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 薄膜構造を音の伝播経路に設置することで、材質の物性に起因する膜強度や厚さ、膜自体の振動が音響インピーダンス、更には音の伝播特性に与える影響に関して実験的な検討を行い、特定周波数の音のみに影響を与える膜構造の提案を目的とする。 【研究方法】 背後空気層(100mm)と共に配置された円形膜の音の反射について、円形膜の材質、膜径(40、30、20mm)を変化させた際の垂直入射吸音率を測定することで評価した。 円形膜の固有振動数及び、吸音率の目標設定、実験結果との比較考察のため、有限要素法解析ソフトを使用し、膜の振動を含めた音響解析を行った。 本研究での膜は板として扱い、実験の際には張力は与えずに背後空気層と同径の穴の開いた板によって膜を挟み込み、ボルトの締め付け力で膜を固定した。数値解析の際にはヤング率、ポアソン比などを用いて計算を行った。使用した膜の材質、厚さについては以下の通り。 ・ネオフロンPFA0.1mm(ダイキン製)、塩化ビニル0.1mm、ポリエチレン0.08mm 【研究成果】 数値解析より、上記のすべての場合において背後空気層を含めた膜の固有振動に対応して、鋭いピークを持つ吸音率が得られた。測定結果と比較した際、最も解析に近い結果となったものがPFA膜(径40mm)の一次固有振動に対応する結果であり、測定値において200Hzでのピーク吸音率0.85が得られた。しかし、今回計測を行った50~1000Hz間のすべてにわたって数値解析と測定結果の吸音率が一致するものは無く、膜径20mmの場合には吸音率の測定が困難であった。より高次の固有振動に対応する吸音率の測定には、パッキンなどを用いた膜の固定力の均一化、より小径の膜の場合には、固有振動が励起される程度に薄い膜を用いるなどの改善策を想定している。
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