2017 Fiscal Year Annual Research Report
高熱伝導率炭素繊維と熱可塑性の高耐熱樹脂を複合化したCFRTPの試作と評価
Project/Area Number |
17H00338
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 清人 九州工業大学, 戸畑・若松キャンパス技術部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | CFRTP / ピッチ系炭素繊維 / ポリカーボネート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 液体酸素タンクの構造材料に適用可能な複合材を開発することである. これまでの要素試験結果から, タンクのライナーに適用できる複合材の素材として, 熱伝導率320W/m・Kのピッチ系炭素繊維(CF)と熱可塑性のポリカーボネート(PC)樹脂が挙げられた. それらの素材を複合化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP-PC)の試作と評価試験を行い, 以下の知見を得た. 1. CFRTP-PCの試作 CFRTP-PC用の中間基材であるプリプレグ・セミプレグを試作し, いずれも問題なく成形できることを確認した. プリプレグよりもセミプレグの方が柔軟で曲面賦形し易かったため, ライナー成形にはセミプレグを用いる方針とする. 2. CFRTP-PCの評価 (1)液体酸素適合性(衝撃着火性) : ABMA型衝撃試験機を用いて液体酸素適合性試験を実施した. その結果, CFRTP-PCは試験20回中, 着火0で液体酸素適合性を有することが判明した. (2)ガスバリア性 : 「JIS K 7126-1」に準拠したヘリウムガス透過率試験を実施した. CFクロスとPCフィルムを何も処理していないCFRTP-PCは過大なガス透過率を示したが, CF表面のサイジング剤を除去するとともにPCフィルムを高温乾燥することでCFRTP-PCのガスバリア性が大きく改善した. (3)耐マトリックスクラック性 : 液体窒素中(-196℃)におけるPC樹脂の引張試験を実施した結果, 12~15%の破断伸びを示した. また, 液体窒素に100回浸漬したCFRTP-PCのガス透過率は未浸漬のCFRTP-PCと有意差がなかった. よって, CFRTP-PCは繰返し熱応力に起因したマトリックスクラックの発生リスクは低いものと予想される. (4)口金への融着性 : 口金材(アルミ合金)どうしをPC樹脂で融着した試料の引張りせん断接着強さ試験を実施した. PC樹脂による融着力は高く, 特にアルミ表面をレーザー処理して網目状の凹みを付与した場合, 極めて高い接合強度が発現した.
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Research Products
(5 results)