2017 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブおよびグラフェン含有薄膜における伝熱特性
Project/Area Number |
17H00339
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 誠 東京大学, 大学院工学系研究科, 技術専門員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | カーボンナノチューブ / グラフェン / 伝熱特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : CNT膜が有する高熱伝導性を利用して、電子部品、機器等の冷却性能向上が期待できると着想した。そこでCNT膜を伝熱ブロック面に貼り付けて、各種伝熱特性を調べる実験を行なったところ、特異な沸騰伝熱特性を示すことを発見した。その現象の説明としてCNT膜面に垂直方向の熱伝導が非常に速いという結果が得られた。CNT膜の垂直方向、水平方向の熱伝導特性も考慮しながら、今回は、応用面で期待されるナノカーボン材料としてのCNTとグラフェンを含有した薄膜をシリコン基板上に付着させた試料を対象とし、この薄膜における熱伝導率測定手法を開発することを目的とした。 研究方法 : 前述した目的を達成するために、研究計画・方法として熱伝導率測定装置は、自ら設計し真空断熱チャンバーを試作した。高温側は、セラミックヒーター・シース白金測温抵抗体・熱流束センサーを組み込んだ部品で構成した。低温側は、研究室保有の市販ペルチェキットを改造した部品で構成した。さらに、研究室においてCVD合成によりCNT膜やグラフェン膜の生成が可能であり計測技術も修得しており、実験現象を観察するための赤外線サーモグラフィが既存の研究環境として準備されていたので、今回は最低限必要な熱流束ロガー測定キットを購入し実験に臨めた。シリコン基板に付着させた薄膜試料を保持し、上方向から赤外線サーモグラフィにて熱画像を監視し熱の流れや接触熱抵抗に考慮しながら熱伝導率を測定した。薄膜試料の位置・傾き・保持圧力を調整し最適な保持方法を探究した。 研究成果 : 熱流束ロガーを用いて熱流束と温度変化状況のデータを取得して熱伝導特性を解析し、赤外線サーモグラフィによる熱画像解析データと比較検討した。得られた成果を基にして、既存の伝熱実験データと比較しながらカーボン含有薄膜の伝熱特性として取り纏めて第55回日本伝熱シンポジウムなどで発表する予定である。
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