Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 近年, 水産資源の減少, 赤潮・貧酸素水塊の頻発等の弊害が生じ, その一因としてアマモ場の各種機能の損失が指摘されている. 申請者は, 八代海の東沿岸域に位置する野坂の浦を対象に, 点在するアマモ群落の生育条件について環境要因との関連性について検討した. その結果, 底質の粒径, 含泥率, 夏季の平均水温, 流速等の関連性が確認された. しかし, アマモ群落領域の測定は干出した干潟で目視を中心に実施し, 浅海域のアマモ場の確認は実施できず全域での検討は実施していない. そこで本研究では浅海域を対象にアマモ群落の現存量の定量化を目的として, 簡易的な手法であるGPS魚群探知機(以下, GPS魚探)及び小型水中ビデオカメラを用いた調査手法を検討した. 研究方法 : アマモ生育域観測の対象域は, 2013年夏季に調査した八代海東岸に位置する野坂の浦であり, 観測時期は, アマモ繁茂期の7月18日~20日及び衰退期である10月18日~20日とした. 7月アマモ繁茂期では, アマモ生育域の境界調査をGPS魚探とスキューバによる目視観測によって実施した. その際, アマモ株数の観測は, 1×1m枠内の株数を目視で確認しGPS魚探の反射高度と比較検討し, その水平, 標高の誤差を平面座標値等で確認した. また10月の衰退期では, 7月の結果を整理し浅海域を対象に, GPS魚探を中心に観測を実施した. なお, ビデオカメラでの撮影は, 浮泥の巻き上げの影響が強く鮮明な画像が得られなかったため, デジタルカメラの画像を一部使用した. 研究成果 : 本研究で得られた成果を下記に示す. なお, GPS魚探ソナーの反射強度データのバイナリデータの書式が不明確のため, アマモ株数との定式化は不可能であった. そのため, GPS魚探の再生画像からアマモ生育域の位置を平面座標で特定した. 1. 繁茂期における生育域でのスキューバによる目視によるアマモ株数は, 平均15本/㎡であった. 2. 目視とGPS魚探によるアマモ境界を比較した結果, 水平距離及び標高の平均誤差は, 水平約3m, 標高約0.5mが確認された. 3. 上記の結果を踏まえ, 過去に調査した干出の生育域を満潮時にGPS魚探で調査した結果, 生育域面積が1.5倍~2.0倍に拡大している事が確認できた.
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